Nulbarich【Change The Track】初の全国ツアーで行く道を変え、地図には載っていない次の場所へ

2017年12月16日 / 14:00

 NulbarichのヴォーカルJQは言う。「ツアーファイナルです。でもここで終わりたくない。たすきを繋ぎましょう。塗り替えることを繰り返す。これしかねえんだよな」

 ソウル、アシッド・ジャズなどのベースに、ポップミュージックの友好性を落とし込んだグルーヴを奏でるNulbarichが、2017年12月13日に東京・LIQUIDROOMで、ワンマンライブを開催した。初の全国ワンマンツアー【Change The Track】のファイナル公演でありながら、既に発表されている次回の全国ツアー【ain’t on the map yet】の初日公演でもあるようなこの日、彼らは行く道を変え、地図には載っていない次の場所への一歩を早くも踏み出したようだった。

鳴らされるNulbarichの音楽「好きな場所で、好きなことやらせてもらってます」

 演奏形態によりメンバーが変わるNulbarich、今回はツインギター、ベース、ドラム、キーボードの男性メンバーたちが登場し、サーチライトのように揺れ動くライティングやストロボの中、ジャージーなインストナンバーで幕開けを飾った。一通り終わったところでJQが姿を現し、「ごきげんよう。さすがに緊張するな、これ」と呟きつつ、英語のカウントで演奏を再開させると、背後ではネオン菅のバンドロゴが妖艶な光を放つ。そして今年リリースのEP『Who We Are』より、リードトラック「It’s Who We Are」を歌い始めると、幅広い年齢層のオーディエンスも高らかに手を掲げて彼らを迎え入れた。

 Nulbarichのライブには演奏曲の繋ぎ目がほとんどない。JQが「止まらず行くスタイル。ビートが止まないスタイル」と形容したように、序盤からそのスタイルを貫き通し、四つ打ちリズムに繊細なギターカッティングが際立つ「Lipstick」、JQの艶っぽいヴォカリーズから始まる「Hometown」などで勢いづけると、ドラムレスのスローナンバー「Everybody Knows」、粒立った音の集合体にラップのようなメロディラインの合わさる「Fallin’」など、それぞれのサウンドを汲み取ることによりグルーヴを加速させていく。

 醍醐味ともいえるセッションタイムでは、メンバーが思うままに楽器を鳴らし、JQはその様子を見守りながら「いいね!」「さては顔で弾くタイプだな?」などとコメント。こちらもいつものスタイルだが、各々心から楽しんでいることがよく伝わってくる場面である。自由でクリーンなギター、不規則なリズムで単音と和音の入り乱れるキーボード、決して崩れることのない地盤を作り上げるリズム隊。笑顔の溢れるステージでJQは声を張り上げる。「相変わらずこんな感じ、好きな場所で、好きなことやらせてもらってます。改めましてNulbarichです。どうぞよろしく!」

語られるJQの思い「気が向いたらこっち向いてよ。好きなとこに連れてくよ」

 昨年、アルバム『Guess Who?』のリリース時は謎多きバンドとして注目された一面もあったが、2017年はEP『Who We Are』で一種の答えを提示。さらに、多くのイベントをはじめジャミロクワイの来日公演にも出演、12月6日にリリースされた2ndEP『Long Long Time Ago』においては、リードトラック「In Your Pocket」で初めてJQ本人がミュージックビデオに登場している。

 こうした中でのライブとあり、今回は2月に行われた初のワンマンライブ(ライブレポート:http://bit.ly/2AttIsc)とはまた違った様相。あのときも盛り上がりを見せたものの、どうしても自己紹介的な面があり、オーディエンスも正体不明のバンドを自らの目と耳で捉えようと必死になり過ぎている雰囲気があった。だがこの日はJQの「歌ってくれる人? 待ってまーす!」という声に応え、「On and On」のサビで伸びやかなシンガロングが巻き起こるなど、確かなる一体感が生まれていたのである。

 MCと呼ぶに相応しい最初のMCでは、バンド結成からの約一年半を振り返り、感謝を述べた上で、「僕たちは思っていることを全部曲に入れてて、これを失ったらやべえことになる。だから、末永くお願いします」と頭を下げた。本編ラストに歌い上げたのは「Follow Me」。なお、JQは2月のライブで「手を引っ張るほどの優しさは持ってないんですよ。付いてこなかったら絶対置いてっちゃうからね」と言い放ったが、この日も「何度も言う。付いてこないと置いてくスタイル」と語ってみせた。

 そしてアンコール、「泣いても笑っても最後です。だったら笑いましょう。Nulbarichでした」という言葉に続いたのは、俯いている人の手を引っ張るでなく、あくまで自発的な歩みを促すNulbarich流の人生応援歌「LIFE」。無理強いはしない。媚びることもない。ただ「気が向いたらこっち向いてよ。好きなとこに連れてくよ。出来る限りね。約束はしません。努力はします」――その結果が来年行われる最大規模の全国ツアー、東京・新木場STUDIO COASTワンマン2DAYSのSOLD OUT。彼らに付いて行こうと決めた人が多くいる証拠である。

TEXT:佐藤悠香
PHOTO:木村篤史

◎セットリスト
【Change The Track】
2017年12月13日(水)東京・LIQUIDROOM
01. INTRO
02. It’s Who We Are
03. Lipstick
04. Hometown
05. TOKYO
06. Everybody Knows
07. I Bet We’ll Be Beautiful
08. Fallin’
09. Spread Butter On My Bread
10. Hip Hop Session
11. On and On
12. Ordinary
13. NEW ERA
14. Follow Me
EN1. In Your Pocket
EN2. LIFE

◎ツアー情報
【『Nulbarich ONE MAN TOUR 2018 “ain’t on the map yet” Supported by Corona Extra】
3月14日(水)なんばHatch
3月16日(金)新木場STUDIO COAST (追加公演)※SOLD OUT
3月17日(土)新木場STUDIO COAST ※SOLD OUT
3月28日(水)仙台Rensa
4月06日(金)広島クアトロ
4月07日(土)福岡イムズホール
4月13日(金)名古屋ダイアモンドホール
一般発売日:2018年1月27日(土)10:00~

◎映像
Nulbarich – It’s Who We Are (Official Music Video) [Radio Edit]:http://youtu.be/4bn7QIf50RM
Nulbarich – In Your Pocket (Official Music Video) [YouTube Ver.]:http://youtu.be/KA79T74sTsY


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