【LAZY インタビュー】伝説のバンドが見据えた新たな未来

2017年11月20日 / 10:00

L→R 井上俊次(Key)、影山ヒロノブ(Vo)、高崎 晃(Gu) (okmusic UP's)

さまざまなミュージシャンに影響を与えたLAZYが、デビュー40周年記念となるシングルのリリースとライヴを行なうことになった。影山ヒロノブ(Vo)、高崎 晃(Gu)、井上俊次(Key)が、これまでの歩みを振り返りながら、現在のLAZYに懸ける熱い想いを語った。
デビューから解散までは 3年半だったけど もっと長いことやってたような気がする

──デビューから40周年を迎えた今、LAZYに対してはそれぞれどのようなことを思うのでしょうか?
影山
「三者三様だと思うんですけど、間違いないのは3人ともLAZYがプロの世界に導いてくれたスタートということですよね。しかも、一番感受性の強かった10代の頃がそのままLAZYですし。今回の40周年のリリースとライヴに向けても、すごく気持ちが高まってますね。」
井上
「40年って長いですけど、僕にとっては何か短いような気もしててね。ひぐっつぁん(ドラマーの樋口宗孝の愛称。2008年に永眠)と宏幸(ベーシストの田中宏幸。2006年に永眠)はもういないですけど、最近、ふたりともよく夢に出てくるし(笑)。今回の制作では、そういう気持ちも込めながら演奏したり、曲を作ったり…そういったこの1カ月間は、今の自分にとってはすごく貴重なタイミングだったなと思います。」
高崎
「そうなんや? でも、あっと言う間とはやっぱ言われへんよね。みんな山あり谷ありやったと思うし。でも、こうやってまたこの広尾の一等地(レコード会社の所在地)に集まってるというのが(笑)、不思議な感じもしますね。」
井上
「デビューから解散までは3年半だったけど、もっと長いことやってたような気がする。特に最初の半年が経ったぐらいからは、えらい忙しかったもんね。」
高崎
「睡眠時間が毎日3時間ぐらいでね。あの3年半で10年分の仕事をしたぐらいのすごいスケジュールやったね。」
影山
「夜中の12時ぐらいにテレビ局を何カ所か回ったりね。もう完全に顔とか死んでるのに、さらに収録のあとに『明星』とか『平凡』の表紙の撮影があって、篠山紀信さんとかがスタジオで待ってたりしてさ(笑)。」
井上
「今みたいにスタイリストさんとかもあまりいない時代だったから、帰ってから翌日に着る服をコインランドリーに洗濯しに行くとかね。」
影山
「普通、ロックバンドとしてデビューしてたら、そんなことをやることはほとんどないと思うんですけど、雑誌の取材とかサイン会とか、音楽以外の何かをやっている時間のほうが圧倒的に多くて、めっちゃ忙しかった。」
高崎
「(テレビの)かくし芸大会もみんなで出たよね。」
影山
「出た! 津軽三味線とかやったよね。」
高崎
「いや、最初にかくし芸に出た時は、顔を真っ黒に塗られて…カラスか何かの役でね。ひと月ぐらいものすごい練習して。でも、オンエアを観たらね、2秒映ってたか映ってないかぐらいやった(笑)。」
──メンバーの考えとは違って、当初はアイドルバンドとしてデビューさせられたというエピソードはよく知られていますが、1980年にはヘヴィメタル宣言をして、ロックバンドとしてのLAZYを明確に押し出しましたよね。
影山
「タッカン(高崎の愛称)とひぐっつぁんの熱意に事務所が根負けっていう感じだったね。」
井上
「あとは僕たちがデビューしたあとから時代が変わりつつあって、ツイストやCharさん、サザンオールスターズとか、楽器を持つバンドが出てきたんですよ。ただ、彼らは僕たちの音楽性とも微妙に違ってたし、自分たちはもっとミュージシャン気質で、演奏とか歌も含めて、テクニックを演出するタイプだった気がしていて。そういうところで、もうちょっと飛び抜けたロックバンドという意味でのヘヴィメタル宣言だったと思うんです。」
影山
「うん。その後のLOUDNESSもそうですけど、海外でもヘヴィメタルというものが、すごく大きなジャンルになっていく最初の頃だったんじゃないですかね。」
井上
「すごく忙しくて、音楽性やら何やらを考えている余裕がなかった時もあったんですよ。でも、少しずつ大人になってきて…僕にはまったくヘヴィメタル色はなかったと思うけど、その僕でも“このままやってたらあかんな”とすごく思ったタイミングでしたね。19歳ぐらいだったかな。」
──あの頃、“ヘヴィメタル”という言葉を日本で大々的に掲げていた人はほとんどいなかったと思うのですが。
高崎
「うん。欧米のバンドの中では、それこそ歌詞の中に“ヘヴィメタル”というワードがあったりしたかもしれないけど、日本ではほとんど“ハードロック”と言われていたと思うし。でも、アイドルからヘヴィメタルとなったら、ギャップがデカいじゃないですか。それが逆にレコード会社もセールスポイントになると踏んだか、諦めたか、どっちかですね(笑)。だから、戦略のひとつだったと思うんですよ。ただ、事務所の社長からは“好きなことやってもええけど、売れへんぞ”って言われてたんですよ。実際、『宇宙船地球号』(ヘヴィメタル宣言後の1980年12月に発売された6thアルバム)は、『This is the LAZY』(1978年3月に発売された1stアルバム)ほど初動は良くなかったんです。でも、何十年かして累積で見ると、LAZYのアルバムの中では『宇宙船地球号』が一番売れてるんですよ。だから、間違ってなかったんじゃないかなというのはあるんですよね。」
影山
「多分、ちゃんと目的を持って全てレコーディングしたのは、最後の『宇宙船地球号』だけだったと思うんです。その当時、絶対的な駆動力はひぐっつぁんとタッカンだったと思うんで、そのふたりの作り出すものを中心にできたものだと思うんですよね。今でもあのアルバムにはすごく一貫性を感じるし、魂みたいなものが入っている気がしますね。」
プロになってからの3年半ではなく アマチュア時代の仲間のままでいる

──1998年には再始動第一弾のアルバム『Happy Time』がリリースされていますから、間もなく20年ですね。
井上
「一度解散してからそれまでの間は個々の活動をしていたりして、あんまりみんな会わなかったんですよ。でも、再結成してからは、また頻繁に食事をしに行ったりするようになってね。だから、プロになってからの忙しかった3年半ではなく、それ以前のアマチュアの時代の仲間のままでいる、そんな感じの20年だったような気がするんですよ。」
──実際に小中学校時代からの友人だったみなさんが、現在もともに創作活動を行なっているのも貴重な関係性ですよね。来る12月6日には3人それぞれが書き下ろした久々の新曲が、シングルとしてリリースされることになっていますし。
高崎
「俺はやっぱりLOUDNESSとは全然違うことをやりたいし、カゲ(影山の愛称)が歌ったら映える、なおかつ、世の中にアピールできるような曲にしたくてね。ベースはEDM系のリズムで4つ打ちにしてるけど、もうちょっとハードロックな要素を入れるのか、もっとバリバリのEDMにするか、ミックスのバランスを考えているところなんですよ。」
影山
「井上くんは最近のやりたいことをやってる感じやな。」
井上
「うん。本格的な曲作りも2002年(現時点での最新アルバム『宇宙船地球号II』を発表)以来してなかったんですけど、自分の中ではわりと熱い部分というか、ハードな部分をメロディーにしてみたんですね。みんなからは“さわやかな曲ですね”って言われてますけど(笑)。」
影山
「LAZYでしかできないと自分でも思うような世界観があるんです。今回もちょっとブルージーだったり、ブリティッシュっぽかったりする感じですけど、それを今のLAZYでやりたいなと思って書いたんですよね。」
井上
「実は、今回はデビュー曲の「Hey! I Love You!」の作詞をしていただいた森雪之丞さんが作詞をしてくださってるんですよ。かまやつひろしさんのお別れ会の時に、それこそ40年振りぐらいに再会したんですが、森さんにとってもシングルのA面を書くのは、LAZYが初めてだったって話をしてて。そこで40周年で楽曲を作るんですって話をしたら、ぜひ歌詞を書きたいと言っていただけて。」
──今回の東京と大阪での40周年記念ライヴの際には新曲も披露されると思うので、楽しみが増えますよね。
井上
「このところはずっとイベントへの参加だったりして、最長でも40分ぐらいの演奏でしたけど、今回は自分たちだけなので、40年を振り返りながらいろんな曲を入れていけますし、新しい曲をやるのはこの何年かの間では初めてのことなんですよ。その意味では、ここからがまたスタートにできるようなライヴにしたいなと思ってます。」
高崎
「僕はLAZYのライヴで1曲ぐらい歌いたいですよねぇ。それから今回の自分の曲はドラムも叩いたんで、ちょっとドラムも叩きたいなぁみたいな(笑)。」
──その時、ギターはどうするんですか?(笑)
高崎
「その時? (影山に)ここにおるやん!(笑)」
影山
「じゃあ、俺もマーシャルを用意してもらわな(笑)。でも、自分たちで言うのは変かもしれないけど、40年ずっと続けてこられた何かが…タッカンなんかはその塊みたいなものだし、自分にもある程度はあると思うんですね。それは流行り廃りとかではない、ベーシックにあるものだと思うんですよ。LAZYならではの空気感、メンバーのケミストリーが好きで、みんなが応援してくれている。そう、やっぱりLAZYはファンが熱いですよ。あんなに待ち望んでいる人たちって、そうはいないと思いますからね。」
取材:土屋京輔
シングル「Slow and Steady」
2017年12月6日発売

Lantis

LACM-14700

¥1,200(税抜)
『LAZY 40th Anniversary Special Live Slow and Steady

supported by Rock Beats Cancer』
12/17(日) 大阪・なんば Hatch

12/27(水) 東京・EX THEATER ROPPONGI
LAZY
レイジー:メンバーは影山ヒロノブ(Vo)、高崎 晃(Gu)、樋口宗孝(Dr)、田中宏幸(Ba)、井上俊次(Key)。1977年に国内史上最年少のロックバンドとして平均年齢16歳でデビュー。ビジュアル、音楽性ともに10代の女性を中心に魅了し、「赤頭巾ちゃんご用心」などヒット曲を発表するが、人気絶頂の中の80年に突然のヘヴィメタル宣言! 同年12月に日本のハードロック界の先駆者としてその後のシーンにも影響を及ぼす名盤『宇宙船地球号』を発表するが、81年5月に解散。メンバーはそれぞれの道を歩み、影山はソロシンガーとして、高崎と樋口はLOUDNESS、井上と田中はNEVERLANDを結成する。98年3月、『ウルトラマンダイナ』EDテーマ「ULTRA HIGH」で17年振りに再結成し、同年7月に発表したアルバム『Happy Time』で完全復活を遂げる。その後もメンバー独自の活動と並行しつつ、02年11月には『宇宙船地球号II』を発表し、ライヴなどの活動を継続するが、06年に田中、08年には樋口が永眠。故人の精神を継承し、09年4月に奥田民生、斉藤和義、影山がリーダーを務めるJAM Project をサポートミュージシャンに迎え、初期シングル「感じてナイト」のリメイク曲「感じてKnight」を田中と樋口のライヴ音源を使用して、アニメ『真マジンガー衝撃! Z 編』主題歌としてリリースする。11年7月には『トワノクオン』主題歌となった18枚目のシングル「Reckless」を発表。以降、影山の所属レーベルであり、井上が代表取締役を務めるレーベル“ランティス”の周年記念ライヴフェス『10th Anniversary Live ランティス祭り』『15th Anniversary Live ランティス祭り 2014』の他、『Act Against AIDS 2012「アニソンAAA Vol.1」』『Rock Beats Cancer FES』など、チャリティーイベントやライヴイベント出演の活動を行なう。そして17年、デビュー40周年を迎えるアニバーサリーイヤーにシングル「Slow and Steady」のリリース、さらにフルライヴの開催を発表。それぞれの音楽活動40年間を通じて生み出される楽曲への期待は、40年前の頃からのファンからも、それぞれの活動からのファンからも、この冬に向けて高まっていくであろう。
Biography
1977年 国内史上最年少のロックバンドとしてデビュー。

1980年 ヘヴィメタル宣言。『宇宙船地球号』リリース。

1981年 解散。

1998年 『ウルトラマンダイナ』EDテーマ「ULTRA HIGH」で17年振りに衝撃の再結成。

2002年 『宇宙船地球号II』発売。ライヴなど活動を継続。

2006年 田中宏幸 永眠。

2008年 樋口宗孝 永眠。

2009年 奥田民生、斉藤和義、JAM Projectをサポートミュージシャンに迎え、田中&樋口のライヴ音源を使用し、初期シングル「感じてナイト」のリメイク曲「感じてKnight」(アニメ『真マジンガー衝撃!Z編』主題歌)をリリース。

2011年 『トワノクオン』主題歌18枚目のシングル「Reckless」リリース。

2017年 シングル「Slow and Steady」をリリース。
【奥田民生】

LAZYがデビューした時は小学生で、

テレビで見た、合宿所みたいなとこの部屋で、

がっつりレスポールを弾きまくるスージーさんを今でも覚えています。

レギュラーのラジオ番組も聴いていました。

ドリーマーも当然コピーしました。

私の青春です。あ!

40周年おめでとうございます。

これからも応援しています。

またどこかでお会いできたら嬉しいです。
【斉藤和義】

姉妹がファンクラブに入っていたこともあり

「ニチコン歌謡学園」毎週聴いてました。

同録もまだ持ってます。

「宇宙船地球号」を聴いた時の衝撃は

今でも鮮明に覚えています。

40周年おめでとうございます!
【e-ZUKA(GRANRODEO/Gu)】

40周年おめでとうごさいます!

NHKの『レッツゴーヤング』で放映された“ヘヴィメタル宣言”と“LAST&BEST”は

ビデオテープが切れるほど観て、衣裳もMCも未だに憶えてます!

そのおかげで僕の青春はまだ燃えつきていません!(笑)

50周年、60周年に向け、益々のご活躍を祈念いたしております!


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