<連載> 分島花音 第3回「“ライブを聖地にする”という発想」

2017年11月19日 / 12:00

 来年でデビュー10周年を迎える“チェロ弾きのシンガーソングライター”分島花音(わけしまかのん)。最近では、VAMPSが贈るハロウィン・ライブ・イベント【HALLOWEEN PARTY】にチェリストとしてバンドに参加(※今年で5年連続)していたのも記憶に新しい。また、これまで多くのアニメ・テーマソングの作詞作曲/歌唱を担っており、今年も各国各地のイベントに参加。彼女の才能は音楽だけに留まらず、イラストレーター/デザイナーとして自らライブグッズ等を手がけるなど、多岐に渡り、どの活動も目を見張るものがある。そんな彼女が2017年11月・12月・2018年1月と、3か月連続で開催するコンセプトワンマンライブ【The strange treat!】が、いよいよスタートする。

 今回、本人に話を伺う機会をもらい、アレコレ語っていただいた。本稿の第1回では“分島花音の始まり”、第2回では“分島花音がいま放つ言葉”について紹介。ここ第3回では、11月26日よりスタートし、年末カウントダウン、翌年1月8日 Zeppダイバーシティ東京と行われる【The strange treat!】に深くまつわる10周年のプロジェクト導入として送り出された“謎多きBOOK”について触れ、“いま分島花音が目指すもの”を探っていく。(※本稿は、第1回~第3回の連載)
・第1回「若きチェロ奏者が選択した“J-POP”への道」
http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/57517
・第2回「私は愛されたかったんだ」
http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/57522

——- Vol.3「“ライブを聖地にする”という発想」——-

 前回のツアーにて“謎多きBOOK”と紹介された、「10周年記念プロジェクト Art Planning Book」。これには、デビュー10周年にあたる2018年に分島花音の才能をフルに活かし立ち上がったプロジェクトの原案が描かれている。ここにある物語、イラスト、音楽のすべてを本人が創作、キーワードとなる楽曲の制作、作詞、作曲、歌唱もすべて担当するようだ。そして今回開催される【The strange treat!】には、各公演に「knowからの招待状」(11/26@渋谷 7th FLOOR)、「SONATAと通信」(12/31@吉祥寺 STAR PINE’S CAFE)、「物語の幕開け」(2018/1/8@Zepp DiverCity Tokyo)といったサブタイトルがつけられているのだが、“know”“SONATA”“物語”の意味するところは、このプロジェクトに付随していた。したがって、分島花音がなぜこのようなプロジェクトをスタートさせるのかを訊いてみた。

分島花音「そもそも私ディズニーランドが好きで、しょっちゅう行ってるんですけど、ディズニーランドはもともと原作があるアトラクションがあったり、もともとある映画にでてきたところに行ける、映画にでてくる人に会いに行ける、(これらを)聖地みたいな考え方にして、アニメとかでもここが舞台だったところに行って旅行したりって今結構あると思うんですけど、それで“分島花音のライブを聖地にするには原作が必要”だと思ったんです。で、物語をじゃあ一個作って、その物語の世界の中で流れている曲だとか、物語の中にある架空のお店とか、そういうところが『分島花音のライブに行くと 出会えたり、歌が聴けたり、そういう世界観を味わえるよ!』って聖地を巡礼する感じの感覚っていうものになりえたら、もっとライブに行きたい人が増えるんじゃないかなと思って考えたのがコレ(このプロジェクト)です。」

 彼女のこの発想には驚かされる。この話だけで一晩明かしてしまいそうなほど濃いものが彼女の中にあるのだとすると、ここでは綴りきれないため已む無く、「10周年記念プロジェクト Art Planning Book」に絞って続きを伺う。

分島花音「その原作的なものがコレ(「10周年記念プロジェクト Art Planning Book」)なのか、コレがまた何になるのかっていうのはちょっとまだアレなんですけど…。まあそういうお話を一個考えて、それをリンク付けたステージを作っていきたいなと思っていて、お芝居とか舞台とかよく見るんですけど、最近はアニメとか漫画が原作のステージがあるんですよね? 2.5次元系のとか。それが、まだそんなに有名でもない若手の役者さんたちがめちゃくちゃ広い会場を埋めるんですよ。原作ってほんとすごい! ただのオリジナル作品だったらあんな広い会場が埋まるかと言ったら…じゃないですか。もちろんお芝居も素晴らしいんです、実際に見に行って、ちゃんと構成演出とかもキチンとされてるし、一人一人がホントにこうキャラクターに対してめちゃくちゃ熱心に考えて作っているので、本当に素晴らしいんですけど、やっぱり漫画から入っているお客さんのほうが圧倒的に多いですよね? だから原作ってすごく大事だなって思って。最近は映画もアニメ・漫画原作になっていることも多いですよね? 他に実写化するような小説とかもあるはずなのに、注目されるのはアニメ、漫画、ゲームが多くて、だからなんかそういうコンテンツを作って、そこから入ってもらえたらなと思って。」

 ミュージシャンだったら“音楽作品”が原作かもしれない。だが、その音楽という入り口も現代ではかつてほど大きくなく、ジャンル分けも細分化され彼方此方に分散されてしまっていると感じる。それならオリジナルの入り口を設け、それを散らかった入り口と繋げて太くしていく、といったことなのか。彼女の語る“原作の重要性”については、まだ探求していく必要はありそうだ。が、話は実体験に基づいた内容へ進む。

分島花音「アニソンって そもそもそういうものじゃないですか? アニメがキッカケで来てくれるお客さんてホントに増えましたし、そういうもので“原作のパワー”みたいなのを凄く感じるんですよ。なので、自分も元々“自分の世界観”とか“自分の音楽”を表現したい人間でもあるので、ちょっとチャレンジ的ですけど一個原作を作ってみようと。そこからもともと分島花音の音楽とか本人自体を知らなくても、その原作が気になって来てくれるような人がもしかしたら居るかもしれないなと思ってチャレンジしてみました。まだちょっとファンの内々でしか浸透してないですけど、これをちゃんと一個作品にできたらなといった野望はあります。」

 この話の前に『今後の野望(やりたいこと)』について訊いたので、このような言い回しをしてくれたのだが、“ちゃんと一個作品にできたら”という彼女の気持ちを本心と汲み、これからスタートする【The strange treat!】へ、例えばどうプロジェクトが反映されていくのか訊ねる。

分島花音「いま本当に舞台文化が凄いなと思っていて、自分のライブでもちょっとなにか(舞台的な演出を)取り入れてみたいと思っています。ただダンサーさんを取り入れるライブってよく見るじゃないですか? あれも格好いいなとは思うんですけど、なんかどうせなら、分島花音のライブでしか見れないような特殊なことをやってみたいなと思って、ちょっと演技が入ったような…でもない、ダンサブルなそういう構成を考えています。」

 まだまだ非公開な内容もあるようで、想像が膨らんでいく。実際、彼女はSNSで「どんなライブがみたい?」といった質問をファンに投げかけ、いまもそのアイデアは自身の中でも膨らんでいる様子だ。最後に、今回の原作の進捗は…というと?

分島花音「いちよう物語が始まってから、起承転結の構成は考えているんですけど、その間の細かい部分とかをもうちょっと埋めていきたいなって感じですね。」

 来年10周年を迎える分島花音の今後の活動における根幹とも言えよう同プロジェクト、まず一つ目の作品として発表された“私たちはただ音楽が聴きたかっただけ”とある「10周年記念プロジェクト Art Planning Book」に描かれたストーリーが気になるところ。なお、同冊子には物語のプロローグ、登場キャラクターのデザイン・概要、世界設定などが掲載されており、今回の【The strange treat!】でも販売予定とのことだ。

◎分島花音プロデュース「10周年記念プロジェクト Art Planning Book」
“私たちはただ音楽が聴きたかっただけ”
音楽表現に対する規制が敷かれた近未来の日本を舞台に、主人公と仲間たちが、様々な出会いを経て、奔走しながら、音楽のある世界を取り戻すため革命を起こしていくディストピアファンタジー
※【The strange treat!】各会場にて販売予定

◎ライブ情報
3か月連続ワンマンライブ【The strange treat!】

「The strange treat! knowからの招待状」 ※SOLD OUT
2017年11月26日(日)渋谷 7th FLOOR
 OPEN 18:30 / START 19:00
http://www.sogotokyo.com/event/detail?id=3536

「The strange treat! SONATAと通信①」
2017年12月31日(日)吉祥寺 STAR PINE’S CAFE
 OPEN 18:30 / START 19:30
席種/料金:
・指定席 前売 5,400円(税込)
・スタンディング 前売 4,860円(税込)
お問い合わせ:STAR PINE’S CAFE  0422-23-2251

「The strange treat! SONATAと通信②」
2017年12月31日(日)吉祥寺 STAR PINE’S CAFE
 OPEN 22:30 / START 23:30
席種/料金:
・指定席 前売 5,400円(税込) ※SOLD OUT
・スタンディング 前売 4,860円(税込)
お問い合わせ:STAR PINE’S CAFE  0422-23-2251
http://www.sogotokyo.com/event/detail?id=3537

「The strange treat! 物語の幕開け」
2018年1月8日(月・祝)Zepp DiverCity Tokyo
 OPEN 17:30 / START 18:30
席種/料金:
・指定席 前売 5,400円(税込)
お問い合わせ:SOGO TOKYO 03-3405-9999
(月-土 12:00~13:00/16:00~19:00 ※日曜・祝日を除く)
http://www.sogotokyo.com/event/detail?id=3538

<分島花音 コメント>
『The strange treat!』は、2011年渋谷7thフロアから始まったライブなのですが、“The strange treat!”という架空のレストランにて、音楽をごちそうに見立て“おもてなし”をするというコンセプトです。今年で創業6年となります。
そして、分島花音がデビューしてまもなく十周年の節目ということもあり、過去を振り返ってまた同じ場所でThe strange traet! をリニューアルオープンさせます!
そして、スターパインズカフェ、ゼップダイバーシティと続き、2017年~2018年へと楽しく美味しくみなさんと一緒に過ごせたらと思っています。

12月のスターパインズカフェでは、初めての単独でのカウントダウンライブとなるので、どんなことになるのか今からとてもわくわくしています。
1月のダイバーシティでは、新しい試みを計画中です。チャレンジを惜しまないライブにしたいと思っています。

日常から切り離された非日常の場所。
わたしがライブで体験したい、させたい世界です。現実でつらいことや悲しいことがあっても、心に沢山美味しい音楽を食べてもらって、みなさんの人生を光で照らしたい。
遊び相手の獣を放って、見えない糸で繋がって、あなたが孤独にならないように、わたしは何度でもこの分島花音のライブという場所を作ります。

音楽は味も形も匂いも温度もないけれど、きっとあなたの人生をもっと豊かにできるはず。わたしの音楽も早くあなたに会いたがっています。
是非遊びに来てください。お待ちしています!

愛を込めて。

分島花音


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