【DOLL$BOXX インタビュー】これからのDOLL$BOXXが進む道を示せた

2017年11月1日 / 00:00

オレオレオナ(Key)、F チョッパー KOGA(Ba)、FUKI(Vo)、TOMO-ZO(G)、はな(Dr) (okmusic UP's)

5年の歳月を経て再始動したDOLL$BOXX。今回はビジュアルからしてクールで、完成させたミニアルバム『high $pec』もラウドロックに振り切っている。Fuki Communeでも、Gacharic Spinでもないものが、そこには詰まっていた。
──5年振りのDOLL$BOXXですが、見た目からしてガラッと変わりましたね。まずは再始動に向けて考えたのはどんなことだったのでしょうか?
TOMO-ZO
「5年振りとなるので、FukiとGacharic Spinのメンバーの成長した部分を盛り込みたいというのはありましたね。Fukiの強力な歌声と私たちの演奏でハイスペックなものが作れたらいいなという願いを込めて、“high $pec”というタイトルを付けました。」
──5年前はFukiさんがLIGHT BRINGERをやっていたこともあって、メタルではないものを目指したとおっしゃってましたが、今回は?
Fuki
「前回の時も結局はメタリックな部分が入ったりしたんですけど、LIGHT BRINGERとGacharic Spinのどっちの音楽性にも似なかったから、私と楽器隊の4人がコラボすればDOLL$BOXXの曲になると思っていました。」
KOGA
「ただ、ラウドロックという方向性はありました。」
TOMO-ZO
「お互いの活動も並行してやっているので、それと同じことをやるのは意味がないし、Fukiのヴォーカルにすごく合うと思ったから、ラウド系に特化したものを作っていこうという。」
KOGA
「だからと言って、“メタルはやらない”や“ラウドロックしかしない”っていうわけではないんですけど。」
──今回はどの曲も攻めてますね。
KOGA
「前回よりも尖ってますね。前回は少女感があったけど、そういうのはないので。今回はビジュアル面も含めて攻撃的で…だから、5年で変わった部分というのが、音でも、ビジュアルでも、分かりやすく表現できている。前回のアルバム『DOLLS APARTMENT』のキャッチフレーズが“捨て曲一切なし”だったんですけど、今回は全てが推し曲。だから前回同様に全曲のMVを作ろうってことにもなったし。」
Fuki
「今回はミニアルバムだし、5曲全部がシングル曲みたいだなってのは思いますね。バリエーションに富んでるけど、全部ラウド攻めな感じもするし。」
──そこはヴォーカルがFukiさんなので、演奏陣は遠慮なく攻めれたのでは?
TOMO-ZO
「それはありますね。自分たちの進化した部分も入れ込みたいっていう想いもあったし、Gacharic Spinの時よりも気にせずにフレーズを入れられたってのはあります。」
──ギターソロはかなり攻めてますしね。厳ついぐらいに男前のソロを弾いてますよ。
TOMO-ZO
「ありがとうございます。音作りの部分でもいろんな音色だったり、エフェクターを使って、かなりこだわりましたね。ギターソロだけじゃなくて、曲中のフレーズも時間をかけて作ったし。」
──ベースは?
KOGA
「4弦ベースから5弦ベースに変えました、さらに低い音が欲しくて。なので、前回よりもベースは重いと思います。」
──全体的なアレンジについてはどうですか?
Fuki
「私、普段はピコピコした音の入ったものってやってないので、そういう音が入っていると“Gacharic Spinの人が作った曲だ!”ってなりますね。」
TOMO-ZO
「そうなんだ。DOLL$BOXXはシーケンスだったり、ピコピコしたものはできるだけ減らしていて、バンドサウンドが前面に出るように作ってるんだけど。」
KOGA
「Fukiはそういうのを普段やってないから新鮮なんだろうね。」
Fuki
「新鮮だし、すごく楽しかった。」
KOGA
「でも、今回はギターだと思う。Gacharic Spinの時よりも攻めてるなって。ベース的にはGacharic Spinは頭から最後まで“いっちゃー!”みたいなところがあるけど、DOLL$BOXXではTOMO-ZOのギタリストとしてのヒーロー感を押し出していて…言ってしまえば、FukiとTOMO-ZOが前にバーン!と出ているので、ベースは1歩引くイメージで弾きました。」
──ドラムもGacharic Spinの時以上にすごいですしね。
KOGA
「そうですね。そういうところがGacharic SpinはGacharic Spinの、DOLL$BOXXはDOLL$BOXXでのスタイルかなと思っています。」
──楽曲にも触れていきたいのですが、「Shout Down」はいきなりデスヴォイスで始まるハードなナンバーで、“再始動したDOLL$BOXX”というモードを一番持った曲だなと。ヴォーカルのかけ合いがあったりしてDOLL$BOXXにしかできない曲だし、とにかく攻めているし。
TOMO-ZO
「Fukiのハイトーンヴォイスの裏側で、はなとオレオが違うメロディーを歌っているというトリプルヴォーカルをアピールしたいと思って作りました。」
KOGA
「自己紹介的な曲ではありますね、“DOLL$BOXXはこういうバンドです”というのを表せたというか。」
──2曲目「Sub-liminal」はラップを受けてのギターソロが聴きどころかなと。
TOMO-ZO
「DOLL$BOXXにしては長めのソロですね。これは弾きまくりました。」
Fuki
「どの曲のギターソロが一番楽しい?」
TOMO-ZO
「今までの自分にないものっていうことでは、「世界はきっと愛を知ってるんだ」かな。ワーミーを使って面白い音になってたり、もともとの音を重ねてシンセっぽい音色になっていたりするので。」
──この「Sub-liminal」はどんな曲にしたいと思って作ったのですか?
TOMO-ZO
「どの曲も作る時からFukiのヴォーカルを意識して作ってるんですけど、私的にはこの曲が一番フィットしたと思ってます。」
Fuki
「「Sub-liminal」は歌っていて一番楽しいですね。」
──メロディーが流れる感じだし、英詞の部分とか気持ち良さそうですよね。
Fuki
「そうですね。あと、この曲はノリがいいんですよ。メタルバンドだと勇壮な歌い方をしがちですけど、この曲はリズムに合わせる感じで歌ったんで、それが新鮮で楽しかった。」
──そのノリを作ってるベースは? スラップで押してくる感じもあるのですが。
KOGA
「でも、イントロやBメロではスラップをやっていなくて。最初は全部スラップでいこうと思ってたんですけど…たぶんGacharic Spinだと全部スラップでやるけど、5弦になったことでピックで弾いたほうがローが出るので、それを活かしたいと思って変えたから、それでメリハリが出たと思います。」
──「HERO」はどんなものを作ろうとしたのですか? 鬱屈した感情がそのままサウンドになっている印象があるのですが。
TOMO-ZO
「セクションごとのストーリーを分かりやすくしたいなと思って作った曲ではありますね。」
KOGA
「テンポ的にはミドルで、今回の中で一番ゆっくりですね。」
──歌詞はどんなものをイメージしました? 物語的ですよね。
Fuki
「5曲の中で一番ドラマがあると思ったので、この曲は物語にしようと思って。あと、もうひとつ意識したことが、前回の「fragrance」みたいな歌詞を書きたかったんです。それは恋愛ということではなくて、歌詞を見ただけで、その曲の物語が分かる…遠回しなことを言わないで、起承転結があって分かりやすいものということで。でも、「HERO」は恋愛の曲ではないと思ったので、ファンタジーではありがちなんですけど、旅立つ勇者を見送る側の人の視点で歌詞を書いてみようと。とにかくメロディーが泣いていたんで、これは切ない曲だと思って悲しい歌詞を書きました。歌詞的には一番気に入ってますね。」
TOMO-ZO
「すごく考えさせられる歌詞だった。」
──奥深いですよね。勇者が背負っているものだったり、送り出す側の心境だったりが見えてきて、決して晴れ晴れしていないという。
Fuki
「そうですね。ずっと曇っている感じ。」
──そして、「世界はきっと愛を知ってるんだ」。これ、いい曲ですよね。
Fuki
「いい曲ですよね!」
TOMO-ZO
「ドラマチックな展開にしたいと思って作った曲で、私的にはこの曲が一番進化しているところを見せているんじゃないかなと思います。」
──DOLL$BOXXだけじゃなくて、FukiさんがやっているものやGacharic Spinにもないタイプの曲ですよね。でも、全部の要素が入っているという。Fukiさんのアニソンっぽい唱法も入ってますしね。
Fuki
「いい意味でアニソンっぽいところがありますよね。明るくてさわやかだし、メロディーも良くて、展開も最後にサビが2回きてグワーと盛り上がって終わるという。すごく気持ち良い曲です。」
TOMO-ZO
「歌詞もすごく前向きになれる。」
Fuki
「アニソンやアイドルソングみたいな、曇りのない前向きな歌詞がこの曲には合うと思って、ちょっと恥ずかしいくらいの真っ直ぐさを出してみました。」
KOGA
「私、この曲のイントロのギターが好きなんですよ。デモの時に“えっ、これ弾けるの!?”と思ってしまったんですけど、TOMO-ZOは全然余裕なことを言うから、ギタリストTOMO-ZOってすごいなと。DOLL$BOXXの再始動にあたって、Fukiも含め、すごい人たちと一緒にやってるんだ!って改めて思いましたね。」
Fuki
「スペックが高いってことですね。」
──確かに(笑)。この曲は明るくて今回の中でフックにもなってますね。
Fuki
「この曲があるとないとでは印象が大きく変わりますよね。どんより感が晴れるというか。」
TOMO-ZO
「「HERO」からの流れでこの曲になると目の前が開ける。」
──でも、次の「Dragonet」でまた深く沈むわけですが。
TOMO-ZO
「この曲は妖艶な雰囲気で“大人になったDOLL$BOXX”を感じてもらえるかなと。ギターのフレーズも時間をかけて作ったし、結構重低音を意識しました。」
──ベースもスラップで攻めてますね。
KOGA
「そうですね。でも、Gacharic Spinよりは大人な感じのものを入れてあります。」
──ヴォーカルは?
Fuki
「この曲も歌詞をファンタジーにしたんで、歌い方も上からというか、人間ではなくて神的な視点から歌ってるものが合うと思って。Fuki Communeに「未来」(アルバム『Welcome!』に収録)という手塚治虫さんの『火の鳥』の未来編をテーマにしている曲があるんですけど、曲調的にまた『火の鳥』をやりたいと思ったんです。でも、私の中の勝手な縛りとして“DOLL$BOXXは既存のマンガや小説をモチーフにしない”っていうのを決めていて。前回もそうだったんですけど、とにかく自分の中でのオリジナルにするっていう。なので、この曲は時代を何万年も見守っている龍を主人公に歌詞を書きました。」
──この曲はハイトーンがすごいなと。
Fuki
「そうですか? 自分的には「世界はきっと愛を知ってるんだ」のほうが高くて大変で、この曲はそうでもないです。メタルヴォーカルの唱法で歌ってるからか、そんなに高いと思ってなかったです。」
──そうなんですね。「世界はきっと愛を知ってるんだ」と「Dragonet」のハイトーンはすごいなと思ってました。
Fuki
「「世界はきっと愛を知ってるんだ」はポップス歌手のようにかわいく歌おうと思ってて、《気づいたよ〜》のところは本当に高いし、伸ばしているんですけど、それははながディレクションしてくれて。他に明るい曲がないから、ここはFukiらしく明るく伸びやかに歌ったほうがいいって言ってくれたんです。自分でもそう思ったので、そういう歌い方をしているんですけど、すごく喉が辛いっていう。かわいい声のほうが喉に負担が掛かるから、ハイトーンの大変さで言うとこの曲のほうが大変なんですよ。でも、どっちもFukiらしさのあるハイトーンだと思うので、比較して聴くと面白いと思います。」
──そんな今回の作品でそれぞれの思い入れのある曲はどれになりますか?
KOGA
「私は「Shout Down」ですね。自分の中では“再始動”という感じがあって、この曲の背景にあるものを想起するというか…Gacharic Spinの野音(6月24日@日比谷野外大音楽堂)でFukiに来てもらって、この曲をやったこととかを思い出す。」
TOMO-ZO
「私は「世界はきっと愛を知ってるんだ」ですね。ギター的にすごくこだわったし、今までのDOLL$BOXXとは違う世界観を出せたんじゃないかと思うので。」
Fuki
「私は歌詞では「HERO」が一番上手く書けたと思っていて…でも、歌はFukiっぽくないというか、ダウナーな歌い方をしているので、ちょっと難易度が高いんですよ。ライヴでCDの雰囲気が上手く出せるといいなって思ってます。逆に歌詞が一番大変だったのが「Sub-liminal」で。ラップの部分があるし、ギミックの部分もあるので、かなり頑張って書いたから、書き上がった時の達成感はすごいものがありましたね。なおかつ、歌っていて自然とノリノリになる楽しい曲なので、この2曲が私のお気に入りです。もちろん、全曲好きなんですけど。」
TOMO-ZO
「“全てが推し曲”だからね。」
──まさに今のDOLL$BOXXのモードが落とし込めた作品になりましたね。
TOMO-ZO
「これからのDOLL$BOXXが進む道を示せましたね。」
Fuki
「今回はクールだよね。前回は衣装にしてもメンバーカラーがあったけど、今回はそこも意識してないし。前回の「Take My Chance」ようなアイドル的なものは、これからのDOLL$BOXXにはないんじゃないかな。」
KOGA
「それだけFuki CommuneとGacharic Spinとの差別化が、前回以上にされていると思います。“DOLL$BOXXはDOLL$BOXXというバンドです”というものが示せている。」
──そんな作品を引っ提げてのツアーはどんなものになりそうですか?
KOGA
「私は自分の中のGacharic Spinらしさを消してライヴをやりたい。もちろん作品には自分たちが歩んできたものを詰め込んでいるんですけど、DOLL$BOXXはDOLL$BOXXとしてひとつのバンドとして観てほしい。Fukiが好きで、Gacharic Spinが好きで来るお客さんもいっぱいいると思うんですけど、“全然別ものだった”と言わせるライヴをしたいですね。」
Fuki
「…今のKOGAさんの発言を聞いて、私もパフォーマンスを変えようっていう気になりました。前回の明るい曲もやるからどうなるんだろう? でも、まだ私の中にはビジョンはないんですけど、きっと喜んでもらえると思います。」
TOMO-ZO
「Fukiとも、Gacharic Spinとも全然違う作品ができたので、ライヴも違うものにしたいですね。MVはそういうことを意識して撮ったので、それをステージングにも反映したいと思ってます。」
KOGA
「あと、海外にも行きたいと思っていて。Gacharic Spinは海外によく行くんですけど、そこで“DOLL$BOXXの曲はやらないのか?”とか“DOLL$BOXXでも来てくれ!”って言われるんですよ。」
Fuki
「「Shout Down」のMVを公開した時もコメント欄が英語ばっかりで…“Is this dream?”みたいなことが書いてあったりするので、今回は海外にも行きたいですね。前回は日本のみでの活動だったんで。」
KOGA
「この再始動のタイミングでそこは叶えたいと思ってます。」
取材:土内 昇
アルバム『high $pec』
2017年11月8日発売

ビクターエンタテインメント

【初回限定盤(DVD付)】

VIZL-1240 ¥2,593(税抜)

【通常盤】

VICL-64850 ¥1,667(税抜)
『DOLL$BOXX TOUR 2017「high $pec」』
11/23(木) 福岡・BEAT STATION

11/25(土) 大阪・umeda TRAD

11/26(日) 愛知・名古屋Electric Lady Land

12/10(月) 東京・EX THEATER ROPPONGI
DOLL$BOXX
ドールズボックス:2012年3月全国ツアー中のGacharic Spinとツアーサポートヴォーカルとして起用されたFukiとの出会いによって誕生。同年12月、お互いの魅力と武器がふんだんに味わえるアルバム『DOLLS APARTMENT』を発表。その後、それぞれの活動に戻っていたが、5年の歳月経て再始動! 17年11月にミニアルバム『high $pec』をリリースする。


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