【KANA-BOON】 4人で大切に育てた12曲の結晶 最新アルバム『NAMiDA』完成!

2017年9月20日 / 10:00

L→R 飯田祐馬(Ba)、谷口 鮪(Vo&Gu)、小泉貴裕(Dr)、古賀隼斗(Gu) (okmusic UP's)

アルバムをリリースするのは1年7カ月振り。さまざまな新しいアプローチを取り入れつつ、バンドの核にあるものを大切に磨き上げている今作『NAMiDA』は、どのようにして誕生したのだろうか? メンバーたちにじっくり語ってもらった。
その時だから鳴らせた音は その曲にとっての正解だと思う

──去年、夏フェスが終わったくらいの時期にみんなでキャンプに行っていろいろ話し合ったそうですが、その時点で今回のアルバムについての話も出ていました?
谷口
「具体的なテーマに関しての話はなかったですけど、音についての話はしていました。前回のアルバムの『Origin』は“力強い音”というのを目標にしていたので、それを継続しつつ、新しいやり方を試したいというようなことを、みんなで話し合った記憶があります。」
──まさにそういう制作になりましたね。
飯田
「はい。キャンプに行ったこともそうですけど、今回のアルバムはゆっくり自分たちを見つめ直しながら作れたんです。鮪が送ってきたデータにじっくり向き合ったり、鮪の家でプリプロをしたり、ゆとりのある制作でした。“この曲はこのベースがいい”とか、いろいろ試しながら機材選びをしたのも今までとは違っていたところでしたね。その結果、全体的にカラフルなものになったと思っています。」
古賀
「ギターもいい音が録れました。例えば「バイバイハロー」のギターソロは多彩なニュアンスを出せた手応えがあるんです。気持ち良く録れたし、個人的にも気に入っています。今回のアルバムは全体的に、これまで培ってきたものがかなり詰め込まれていますね。」
小泉
「プリプロをじっくりできたというのが良かったと思っています。それぞれの曲について丁寧に考えることができましたから。あと、録音スタジオを変えたり、スネアをいろいろ試したりしたのも大きかったですね。各曲に合ったいい音で録ることができたと思っています。」
──4人で曲を大切に育てた制作だったということですね。
谷口
「はい。僕の家にみんなで集まってプリプロをした段階で、全員が曲のイメージをしっかり掴んでいましたから。」
──鮪さんの家に集まってプリプロをするというのは、今までやっていなかったのですか?
谷口
「やってなかったです。作業をできる環境がなかったんですよ。去年からそういう環境作りをじっくりしていたので、活用することができました。狭い部屋だから4人全員が入るときついんですけど(笑)。でも、みんなで作業したことによって、僕が思い付いたイメージを共有しながら進めることができました。」
──シングルで「Fighter」をリリースした時、“KANA-BOONのマッチョ化計画が進んでいる”っておっしゃっていましたが、今作はそういう面も出ていますね。「ディストラクションビートミュージック」とか「人間砂漠」とか、すごく力強いサウンドを発揮しているじゃないですか。
谷口
「どっしりした感じが出たと思います。自分たちの曲の乗りこなし方が上手くなったのかもしれないですね。」
小泉
「「ディストラクションビートミュージック」や「人間砂漠」はまさにパワーがないといけない曲だったので、ドラムでもしっかりパワー感を出すようにしました。」
飯田
「今までだったらもう少しBPMを速めにして軽めのものにしていたような曲も、ちゃんとじっくり表現できるようになってきたんだと思います。」
古賀
「ギターに関しては先に録ったベースとかドラムの音を聴いて、その低音に負けないように音作りをしました。そういうのもパワー感につながったのかもしれないですね。」
谷口
「4つ打ちの曲は“お客さんと共有して楽しむ”というイメージですけど、それ以外のビートは“お客さんに投げかける”というような感覚なんですよね。まさに「人間砂漠」はそういうところが出ていると思っています。」
──“人間砂漠”っていい言葉ですね。人が多いのに殺伐としている都会の風景が浮かびます。
谷口
「ちょっと重たい内容ですけど(笑)。アルバム制作のかなり後半で書いた歌詞です。今回は歌詞もいいものが書けたと思っています。言葉遊びみたいなことはずっとやってきてたんですけど、今って世の中はラップブームじゃないですか。そういう影響も出ていますね。去年辺りから『フリースタイルダンジョン』にはまって、友達からいろいろ教えてもらったりもするようになったんですよ。“ロックとヒップホップは共通するところもあるんだな”と感じるようになりました。スタジオ練習でフリーセッションする時とか、ちょっとそういう影響が出たりもしています。」
──古賀さんをラップでディスってみたり?
谷口
「それは今後、ぜひやりたいですね(笑)。」
飯田
「全員で古賀をラップでディスし始めるかもな。」
小泉
「あり得る!」
古賀
「ダメージを喰らって、俺のギターの音、どんどんリズムに乗れなくなってくるかもしれないぞ(笑)。」
谷口
「どんどん盛り下がるセッション(笑)。」
──(笑)。歌詞のテーマに関しては、後戻りできない人生の中で生まれるさまざまな可能性のイメージが「way back no way back」「バイバイハロー」「涙」とか、いろんな曲に表れているのが印象的でした。
谷口
「今までも別れとかを描くことがよくありましたけど、今回はその先にある出会いや可能性を描けました。それは成長なのかもしれないですね。ちゃんと大人になっているっていうのを実感しました。アルバムのタイトルは“NAMiDA”ですけど、“涙”は切なさや悲しさだけじゃなくて喜びとも結び付いているものですし、いろんな感情とつながるじゃないですか。アルバムの全体を表しているものだと思ったので、このタイトルにしました。」
──今作は大人っぽさも出ていると思いました。
谷口
「どうなんでしょう?(笑) でも、色気のあるメロディーは多いですね。歌声によって出る“少年性”みたいなところはこれからも変わらないと思うんですけど、そういう変化はあるのかもしれないです。」
小泉
「変化は僕もいろいろ感じます。鮪が打ち込みで作ったデモのリズムが新鮮でしたし、僕が今までに叩いたことがないようなリズムもたくさんあったんですよ。僕の手癖を鮪はよく知っているので、それ以外のものをどんどん入れてきているんでしょうね。」
谷口
「僕はメンバー全員の手癖をよく知っているんです。やっぱり今までになかったことをやってほしいですし、作品を作るごとに成長してほしいんですよ。僕は自分が作った曲に関しては、ちょっとでもニュアンスが違うと“それは違う”ってメンバーに厳しく言うんで。今回も“こんなに言われるの嫌だろうな”と思いながらも、しっかり伝えてレコーディングをしました。その結果、僕が思っていた以上にいいものになったと思っています。」
飯田
「もとのデモでしっかり示されていたものがあったので、イメージは掴みやすかったですよ。それはメンバーそれぞれが感じていることだと思います。」
──初期の作品と今回のアルバムを聴き比べると、個々にいろいろな成長を感じるのでしょうね?
谷口
「そうですね。でも、その時だからこそ出せる音もあるので、過去の音も大切にしていきたいです。その時だから鳴らせた音って、その曲にとっての正解だと思っていますから。」
──還暦を迎えた未来のKANA-BOONも『NAMiDA』を聴いて、“これは2017年の正解だった”と感じるのでしょうね。
谷口
「そうだと思います。まぁ、還暦を想像すると、不思議な気持ちになりますけど(笑)。」
初期の雰囲気もありつつ 成長もぎっしり詰まっている

──「一番星」とか「それでも僕らは願っているよ」で発揮されているようなグッとくるメロディーは、今後もずっとKANA-BOONの武器であり続けるでしょうね。
谷口
「やっぱりメロディーは大事にしたいです。『NAMiDA』は“歌を中心に据える”っていうことを考えながら作ったアルバムでもあるんです。「一番星」とか「それでも僕らは願っているよ」は、まさにそういう部分が出ている曲ですね。」
──ダンサブルなサウンドの「Ride on Natsu」や「ラストナンバー」も楽しかったです。ダンスロックはKANA-BOONの十八番のスタイルですけど、この2曲は今の4人だからこそ鳴らせる音になっていると思いました。
谷口
「今回は全体的にギターのメロがすごく立っていて、それと競うかのように歌のメロも立たせているんです。そういう要素プラス、気持ち良いリズムが加わっているのが、「Ride on Natsu」や「ラストナンバー」ですね。「Ride on Natsu」はドラムのレコーディングが大変だったんですよ。」
古賀
「どうしても出せないニュアンスがあって、そのフレーズを録るだけで夜中までかかったんです。」
小泉
「僕が録り終わるのをみんなが待っているのが辛かったです(笑)。この曲は今回、一番時間がかかりました。」
飯田
「トラウマになってるんじゃない?(笑)」
小泉
「そんなことはないから。今となっては逆に楽しめています。レコーディングをしたあとに練習して、ちゃんと理解して叩けるようになったし、ライヴで早くやりたいんですよ。」
──「Ride on Natsu」はサマーチューンでもありますが、今年の夏フェスではやらなかったのですか?
谷口
「やっていません。夏の曲ですけど、初披露するのはおそらく秋になるでしょうね(笑)。この曲はKANA-BOONにとっては珍しいタイプの雰囲気にもなったと思います。」
──弾けた雰囲気が新鮮です。“夏だ! 楽しもう!”っていう感じの雰囲気は、もともとあまりないバンドですし。
谷口
「おっしゃる通りです(笑)。ようやくこういう曲を作ることができました。」
──みんなで海に行った青春の思い出とかは?
古賀
「ありますよ。ロケで海に行きました。」
飯田
「それは仕事や!(笑)」
古賀
「去年のツアーの時、沖縄でオフがあったよな?」
飯田
「あった! 全員、遊び方が分からなすぎて、普通の服のまま海に突っ込んでいましたね。」
小泉
「海を見てテンションは上がったんですけど…」
古賀
「でも、海に入ったあとに“何すればいいの?”と(笑)。」
──(笑)。去年のキャンプの時もガンプラを作って過ごしたバンドですからね。
古賀
「ガンプラを作ったのは僕です。キャンプ中に何かひとつ達成したかったんですよ。」
飯田
「古賀のその発想、何かおかしい(笑)。キャンプでしかできないことじゃないしな。」
古賀
「なんやと!」
──キャンプの方向性の違いでバンドが分裂(笑)。
飯田
「そんな原因で活動休止とかしたら、“キャンプになんて行くなよ!”ってことになるでしょうね(笑)。」
──(笑)。今作を振り返って改めてどんなことを感じます?
谷口
「初期のKANA-BOONの雰囲気もありつつ、成長もぎっしり詰まったアルバムですね。今のKANA-BOONが全部伝わるものにもなりましたし、この4人じゃないと鳴らせないものがあるんだと思います。」
──自信も深まりました?
谷口
「はい。僕は誰よりもKANA-BOONが好きなつもりなんです。その観点から見ても、すごく嬉しいアルバムですよ。リリース後のツアーも楽しみです。“新しい自分たちと出会う”というテーマを掲げているので、新しいことをしつつ、今回の曲を育てていきたいです。」
取材:田中 大
アルバム『NAMiDA』
2017年9月27日発売

Ki/oon Music

【完全生産限定盤(グッズ付)】

KSCL-2969〜70 ¥3,500(税抜)

【通常盤】

KSCL-2971 ¥2,800(税抜)
『KANA-BOONのバイバイハローツアー 2017』
10/14(土) 大阪・Zepp Osaka Bayside

10/15(日) 大阪・Zepp Osaka Bayside

10/19(木) 東京・Zepp Tokyo

10/20(金) 東京・Zepp Tokyo

10/28(土) 宮城・仙台PIT

11/04(土) 石川・金沢EIGHT HALL

11/05(日) 長野・CLUB JUNK BOX

11/10(金) 鳥取・米子 AZTiC laughs

11/11(土) 広島・BLUE LIVE

11/18(土) 愛媛・松山 SALONKITTY

11/19(日) 香川・高松 festhalle

11/23(木) 北海道・Zepp Sapporo

11/25(土) 新潟・LOTS

11/30(木) 愛知・Zepp Nagoya

12/01(金) 愛知・Zepp Nagoya

12/08(金) 福岡・DRUM LOGOS

12/09(土) 福岡・DRUM LOGOS

12/16(土) 山口・周南 RISING HALL

12/17(日) 岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
KANA-BOON
カナブーン:大阪・堺出身のロックバンド。2012年に開催された『キューン20イヤーズオーディション』にて4,000組の応募者の中から見事優勝し、13年9月に1stシングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビュー。14年8月には地元大阪で野外凱旋ライヴを行ない、デビューから1年足らずでありながら16,000人超を動員。16年2月には3rdアルバム『Origin』をリリースし、初の海外公演を含む全21公演の全国ツアーを敢行し大成功を収めた。


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