【ふくろうず】 好きなものから、もう逃げない―― ふくろうず、これが10周年の情熱宣言!

2017年9月3日 / 10:00

L→R 安西卓丸(Ba)、内田万里(Vo)、石井竜太(Gu) (okmusic UP's)

1年2カ月振りのアルバムは“びゅーてぃふる”という名の通り、ファンタジックで美しく、キラキラと切ない宝石箱のような一枚。その裏に隠されたメッセージと知られざる真意を、全曲の作詞作曲を手掛ける内田万里(Vo)が告白する。
──幕開けの表題曲からキラキラとした曲で、タイトル通り“びゅーてぃふる”なアルバムですよね。
「10年バンドをやってきて、改めて今、“何を伝えたいのか?”って考えてみたら、人の心の美しさだったんです。人と接していると“あぁ、いろんな感情が揺れ動いてるさまって美しいなぁ”と憧れたりもするので、そういった気持ちを表現できるアルバムにできたらいいなぁと。それで表題曲では純粋に好きな人のことを美しいなと思う気持ちを書いたんです。」
──“憧れる”ということは、内田さんご自身はあまり感情が動くほうではない?
「感激屋ではあるんですけど、あまのじゃくな性格なので素直に表現できないことが多いんですよ。だから、素直に表現している人を見ると、美しくて素晴らしいなぁって感動するんです。」
──今回の収録曲でも“すき”と“きらい”が交錯している「ソナチネ」なんて、あまのじゃくの極みみたいな曲ですものね。
「つまり、ある意味ではすごく素直な曲なんです。歌詞もアレンジもその場で浮かぶものを一発録りみたいなノリで録ったので、純度がすごく高い。そうじゃなきゃ《男すき》なんて歌詞、出てこないですよ(笑)。「光」も同じような手法でできた曲ですね。」
──その2曲は内田さん自身のことを歌った曲のように感じました。時代錯誤と言われても好きなものを貫く意志を歌った「光」なんて、完全にノンフィクションではないかと。
「直接“時代錯誤だね”と言われたことはないですけど、昔から60〜70年代ものばかりが好きで、高校生の時は学生運動の時代に生まれたかったなぁと思っていたんですよ。あの時代の熱に浮かされたような狂気の沙汰っぽい雰囲気がすごく好きで、学生運動を経験した人の作品だったりが、すごくピンとくるんです。でも、いざプロのミュージシャンでやっていくとなると、逆に今の時代との摺り合わせみたいなところが課題になってきて、その葛藤が素直に歌詞に出ちゃってるんですよね。もちろん今の流行りにも面白いものはあるし、娯楽の多い時代だからどんどん刺激の大きいものを求めるようになるのも分かる。でも、やっぱり私はもう少し回りくどい世界のほうが性に合うんです。例えばラストの「サンライズ・サンセット」も《また君に会えたなら》と歌いつつ、たぶんもう二度と会えないんだろうなぁっていう気持ちが裏にあったり、「びゅーてぃふる」のサビだって500パーセント幸せじゃない! 好きな相手のことを《どこにでもいる君》とか言ってるんだから、かなり悲しい歌詞ですよ。」
──普通は心にしまっておくことを口に出してるんですよね。つまり、悲しみはどこにでも転がっているということ。
「うん。たぶん、そういうことを表現したかったんでしょうね。ネガティブ志向のせいか、幸せな作品より悲しい作品のほうが純粋に好きだし、誰かの楽しさに対しては羨ましい気持ちのほうが大きくなっちゃうけど、悲しみや孤独は分かち合いたいと思えるし。女の人って自分が女であることにちょっと嫌だなと感じる気持ちがあるせいか…やっぱり他人の幸せより不幸のほうが本質的に好きじゃないですか。」
──確かに! 自己否定が強い傾向はありますよね。
「ただ、あんまり自分の好みを素直に出しすぎると重たくなってしまうから、そこでメンバーの力を借りて、もう少し多面的な部分から悲しみを表現するようにしたんです。例えば「ジミー」はピアノ弾き語りだったら重すぎてヤバい曲になるところを、ギターの石井竜太が明るい打ち込みを入れてくれて、いろんな解釈ができる曲にしてくれました。おかげでデモの段階ではすごく“地味”な曲だったのが、“ジミー”になれたんです。」
──てっきり人名が由来かと思っていたのに!
「そう。人じゃなくて“地味”な曲だったから(笑)。「ピンクエレファントの憂鬱」も歌詞はすごく悲しいのに、メンバーとのアレンジのおかげで、そこまで暗い曲には聴こえなくなりましたね。自分的には一番好きなバンドであるビートルズっぽいアレンジにしたかった曲で…私、ビートルズの一番の素晴らしさは、どんなふうにでも解釈できるところだと思うんですよ。だから、自分もできるだけ間口の広い表現をして、自分と同じ感性の人にも、逆に「サンライズ・サンセット」を額面通り“また会えるんだ”と受け取ってくれるような人にも、両方に聴いてもらえる曲を書くことが理想なんです。」
──エキセントリックなイメージが強いので、てっきり“分かってくれる人だけが聴いてくれればいい”タイプの方なのかと感じていただけに、ちょっと意外ですね。
「ショックです! それ、昔からめちゃくちゃ言われるんですけど、実はわりと万人に好かれたいタイプなんですよ。だから、自分の個性を抑えて時代に寄っていこうと考えた時期もあったし、悲しみの中に真実を見出すのが好きな自分が昔はすごく嫌だったんです。でも、さすがに10年活動してみて、そこから逃げずにいるのが“びゅーてぃふる”な生き方なんじゃないかなぁという境地に、ひとつ思い至ったんですね。なので、最近はライヴ会場もプラネタリウムとか教会とか、自分たちにぴったり合う場所を頑張って探してます。予定調和が苦手なので、そういったちょっと不思議な場所でやると何が起こるか分からなくて、すごくテンションが上がるんです。」
──歌詞を見ていると、なんとなく諦めが根底にあるようにも感じられたりするので、どちらかと言うと冷めた方のように思いきや、実は諦めていない?
「めちゃくちゃ情熱的だと思ってます! 10年続けられたのも情熱的だからであって、変なところで根性あるし、しぶといし。今後も自分たちの個性にしっかり磨きをかけつつ、それを時代のニーズと上手く結び付けて、できるだけ多くの人の手に取ってもらえるように頑張りたいですね。」
取材:清水素子
アルバム『びゅーてぃふる』
2017年9月6日発売

徳間ジャパンコミュニケーションズ

TKCA-74549

¥2,800(税込)

ライヴ情報
『君とびゅーてぃふる ツアー』

9/15(金) 大阪・天満教会

9/16(土) 愛知・名古屋 今池TOKUZO

9/23(土) 東京・草月ホール

『内田万里の花より男子ツアー』

10/21(土) 岡山・蔭凉寺

出演:内田万里(ふくろうず)、山中さわお(the pillows)、小山田壮平

10/22(日) 福岡・住吉神社能楽殿

出演:内田万里(ふくろうず)、山中さわお(the pillows)、小山田壮平

10/29(日) 東京・CAY

出演:内田万里(ふくろうず)、山中さわお(the pillows)、ホリエアツシ(STRAIGHTENER)

11/04(土) 東京・晴れたら空に豆まいて

出演:内田万里(ふくろうず)、ジョンB & ザ・ドーナッツ!(ジョンB、真城めぐみ)

11/11(土) 京都・拾得

出演:内田万里(ふくろうず) ※ワンマンライブ
ふくろうず
ふくろうず:2007年に東京で結成。15年10月、ミニアルバム『ベイビーインブルー』をリリース。同月、3D映像ライヴを西麻布SUPER DELUXEにて開催すると、2回公演がソールドアウト。12月からは東名阪ツアーを開催。2016年1月から放送されたドラマ『ワカコ酒 Season2』のオープニングテーマに『ベイビーインブルー』の収録曲「いま何時?」が決定し、メンバーのカメオ出演も話題に。同年7月に5thアルバム『だって、あたしたちエバーグリーン』を発表し、11月にはアルバムリリースツアーを東名阪で開催した。


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