映画『ブランカとギター弾き』、主演のサイデル&長谷井監督インタビュー 

2017年7月23日 / 16:30

 長谷井宏紀監督の初長編監督作となる『ブランカとギター弾き』がいよいよ7月29日より公開される。新人映画監督を発掘するプロジェクト、ヴェネツィア国際映画祭カレッジシネマ部門の出資を受けて制作された作品で、フィリピン・マニラのスラムを舞台に、自分の母親を金で買うことを思いついた孤児の少女・ブランカと、盲目のギター奏者・ピーターの交流が描かれている。

 今回、イベントに出演するため来日していた主演のサイデル・ガブテロ、そして長谷井監督の2人にインタビューを敢行。初めて映画に出演したサイデルがブランカを演じるにあたり、苦戦したシーンや監督との関係性についてなどを訊いた。

–サイデルさんは、今回映画に出演されていかがでしたか?
サイデル:すごくありがたいと思いましたし、嬉しかった。映画に出るのは私の夢のひとつでしたし、このチャンスを頂けてわくわくしました。

–ブランカという女の子の役を演じるにあたり参考にしたことは?
サイデル:何かを参考にする、というより自分でキャラクターを細かに研究しました。

–ブランカと自身に共通した部分はありますか?
サイデル:歌を歌うことが大好き、ということです。でも、彼女には家族がいなくて、家がない、という点では異なります。私は家族もいて、その家族が私の夢を応援してくれています。

–長谷井監督から見て、サイデルがブランカになっていく過程はどうでしたか?
長谷井監督:すでにワークショップの段階でサイデルはブランカをつかんでました。だから撮影が始まって、特に大きく演出する必要もなくセットの前に立った瞬間からブランカになっていた。撮影のクルーも含めて、物語の中に完全に入っていく、という過程はあって、そこを感じたときはすべてが前にロールしていると感じたし、毎日の撮影が楽しかったですね。

–ブランカの目的でもあったお母さんをお金で買うということについて、サイデルさんはどう思いますか?
サイデル:間違っていると思う。お金で人を買って幸せになる、ということではなくて、誰かが愛してくれる、誰か愛してくれる人、愛せる人を待つことが大切だと思います。

–撮影中に一番大変だったことは?
サイデル:泣くことが大変でした。泣くような心境を思い出すには悲しい思い出を探しました。一回泣き出してしまうと止まらなかったので、誰かに笑わせてもらってました。

–監督から見て苦戦している姿は分かったりしました?
長谷井監督:撮影を通して一回だけ。ピーターとクラブで食事をしているシーンなのですが、撮影の中盤で、多くの人が見ているし、初めてのことだし、サイデルが自信を失ってしまって撮影が一時間くらい止まってしまった。初出演で、主役をやってくれて、10歳の彼女にはたくさんプレッシャーがあったと思うんです。そこで「この作品はサイデルや、ヴェネチアの人がいなくては作れなかった。君じゃなきゃ乗り切れない」ということを言ったときに、サイデルが気持ちを変えてシーンに入って、一発で決めてくれて。結果、このシーンは多くの人がお気に入りって言ってくれるシーンになりました。エモーショナルなシーンで役の中に入ってしまって、役から中々帰ってこれなかったこともあった。そのときは、デルというキャスティングコーチが彼女を抱きしめて、彼女をサイデルに戻してくれました。

サイデル:その時のことも、全部覚えています。

–サイデルさんが、ビヨンセの「リッスン」を歌っている姿をYouTubeで拝見したことがあるのですが、とてもパワフルでした。一方、映画の中では静かに歌っている姿が印象的でしたが、歌い方などはコントロールされたたのですか?
サイデル:彼女になるということは、彼女の気持ちを内面化するということなので、映画の中で歌っているときは自分はブランカだ、と思って歌っていました。

–初来日ということですが、日本はいかがですか?
サイデル:本当に楽しいです。東京は色々なものがあるので、たくさん探検できるし、皆さん優しくて良い人だし、わくわくしています。昨日はインタビュー取材がたくさんあったので、あまり町を探検することはできませんでしたが、明日帰る前にディズニーランドに行きたいと思っています。

–憧れの歌手や俳優はいますか?
サイデル:セリーヌディオン! 私の大好きな歌手の一人ですし、彼女のような歌手にいつかなりたいです。でも女優業も両立させていきたいと思っています。

–監督は、今回久しぶりにサイデルさんとお会いされていかがでしたか?
長谷井監督:次の作品でまた一緒にやりたいです。今回久しぶりに一緒に時間を過ごせて、自分の中でイメージが沸き上がってきました。

–映画の中で、ブランカの歌声はどういう役割を果たしていると思いますか?
長谷井監督:いままで旅をしてきた中で、ジャマイカやセルビアの人、様々な国のミュージシャンや生活と音楽が密接してい人たちは、「この日を祝福する、楽しむ」ということを大切にしていて、それって本当に美しいなと思って、そういう思いをブランカにさせたかったんです。ブランカは最初、盗むことでしか自分を表現していなかったけど、ピーターから歌うことを習って、1日1日を彼女なりに精一杯歌って過ごす、その日を祝福する、という前向きな気持ちはブランカがピーターからもらったものの1つで、その気持ちが劇中の歌うシーンでも表現されていると思います。

◎『ブランカとギター弾き』本編映像
(インタビュー時、監督が「苦戦した」と語ったピーターとの食事のシーン):
https://youtu.be/gmKvqvfGHMA

◎公開情報
『ブランカとギター弾き』
2017年7月29日(土)よりシネスイッチ銀座他にて全国順次公開
監督・脚本:長谷井宏紀
製作:フラミニオ・ザドラ
制作:アヴァ・ヤップ
音楽:アスカ・マツミヤ、フランシス・デヴェラ 
キャスト:サイデル・ガブテロ、ピーター・ミラリ、ジョマル・ビスヨ、レイモンド・カマチョ 
(C)2015-ALL Rights Reserved Dorje Film


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