藤巻亮太×山内総一郎、山田将司×村松拓が 弾き語りイベント『STAND ALONE』に出演

2017年7月20日 / 16:00

『STAND ALONE Vol.5&Vol.6』 (okmusic UP's)

弾き語りイベント「ぴあ presents STAND ALONE supported by uP!!!」が7月16、17日に初の2DAYS開催された。初日となるVol.5 の出演は藤巻亮太(レミオロメン)と山内総一郎(フジファブリック)のふたり。デビューが近かった両者だが、20代の頃は対バンをしてもじっくりと話をする機会がなかったという。つい最近になってイベントを通して意気投合し、このSTAND ALONEも藤巻の指名で組み合わせが実現したふたりである。互いに、“亮ちゃん”、“総ちゃん”と呼び合って飲み明かす仲というだけあって、それぞれのステージで編み出すムードもじつにフレンドリーで、和気藹々としたものとなった。

まずステージに立ったのは、山内総一郎。ポロポロとギターを爪弾きながら、ステージを360度囲む客席を見渡して「いっぱいいる(笑)。山内総一郎です、よろしくお願いします」と挨拶をすると、切なく美しい「ブルー」、そして夏の季節にぴったりな「水飴と綿飴」からライブをスタートした。MCでは、ふたりの出会いや、藤巻が山梨出身で、フジファブリックも元々は志村正彦が山梨県の富士吉田市で結成したバンドで親しみがあること、また藤巻が弾き語りのときに使っていたストンプボックスを見て、自分も今日初めてキックパッドを使ってみることなどを語り、「透明」では力強いビートを打ち鳴らしながらシンガロングも巻き起こす。志村が急逝し、ギタリストだった山内がヴォーカルを務める新体制となって7年。奇しくもこの日は、山内がフジファブリックのフロントマンとして歌いはじめた日でもある。そんな時間を回想しながら「LIFE」を、そしてレミオロメンのカバー「雨上がり」から、「虹」へと繋ぐなど、晴れやかでいて、粋でエモーショナルなセットリストで大きな拍手喝采を巻き起こした。

藤巻亮太のステージもまた、弾き語りならでは、この日ならではのセットリストとなった。人懐っこい笑顔で登場し「指先」ではじまったライブは、とても饒舌であり、歌や音楽の魅力に溢れていた。坂本サトルのカバー曲「天使たちの歌」では、大学時代、周囲が就職や将来が決まっていくなか、自分は音楽でプロになると腹を決めたが、不安でならなかったこと。そんなときに何度も救われ、励まされた自分の原点の曲だと紹介し、今度は彼自身が誰かの背中を押すように、熱く、力を込めて歌い上げた。またレミオロメンの曲「蛍」や「南風」を伸びやかに歌い上げると、自然と手拍子が起こり会場の温度が上がる。そして、「汗かくね、これは」と言いながら楽しそうに笑った。またもうひとつ原点となる曲としてカバーしたのが、吉井和哉(吉井ロビンソン)の「TALI」。ソロでの活動をはじめ悩んでいたときに、内面的なものを吐き出しちゃいなよと言ってもらえた気持ちだと、敬意を込めて歌った「TALI」の熱情に、会場の空気と興奮が一段と濃くなり、ラストは地元山梨の公民館を借りて曲作りをし、自身の原風景に今の思いを重ねた新曲「北極星」をスケール感たっぷりに響かせた。

STAND ALONE恒例となったセッションでは、この日のために作った新曲で藤巻曰く“NHKのみんなのうたのようなキャッチーな曲”だという「まるくおさまって笑顔」をふたりで披露。明るくエネルギッシュな曲に、自然と手拍子が起こって、ふたりもがっちりと喜びの握手を交わす。続いてこの名コンビで、藤巻がカラオケでよく歌う大好きな曲だとフジファブリックの「若者のすべて」を、そして山内が超がつく名曲で緊張すると語るレミオロメンの「3月9日」という、それぞれの曲を披露。最後まで、ミュージシャンとしてもひとりの人間としても信頼を置くもの同士の、和やかで、ワクワクとしたセッションとなった。

海の日で祝日となった17日に登場したのは、山田将司(THE BACK HORN)と村松拓(Nothing’s Carved In Stone)。互いのツアーに呼ぶなど、バンド同士での交流も深いが、弾き語りのイベントでも何度か共演し、公私ともに付き合いがあるというふたりだ。個性的なヴォーカリストとしての魅力がぶつかり合うステージで、感情が揺さぶられっぱなしの一夜となった。

ギターを手に、白いTシャツにジーンズの爽やかな姿で登場した村松拓。「みんなも緊張していると思うけど、俺も緊張してます」と語り、序盤から汗を拭きながらギターを奏で、タフで色っぽさもある歌声で観客をうっとりとさせたが、その行動は自由奔放だ。事前のインタビューで山田に「拓は何をしでかすかわからない」と言われた彼の弾き語りのスタイルは、その日その時の雰囲気を掴んで思うままに振り回すもの。弾き語りでのスタンダード「Stand by me」や、NCISの「ツバメクリムゾン」をパワフルに聴かせ、またその歌のリズムや緩急も、独自の間合いがあってドラマティックだ。「やる予定がなかった曲をやろうかな」とノートをめくって、10年くらい前に人生でいちばんじゃないかという恋をした時のことを歌った曲と「Sleepless youth」を優しく響かせたり、初の女性シンガーのカバー「木綿のハンカチーフ」も披露。じつは女性の曲をというのは、山田からのリクエストで、出番直前まで練習していたものだという。まさにSTAND ALONEでしか見られないステージとなった。

「大好きな後輩とふたりでできて、嬉しく思ってます」という言葉でスタートした、山田将司のステージ。THE BACK HORNの放つ、人間の心の深淵に触れる狂気的な世界観や姿とはまた一味違った、柔らかな佇まいで観客に語りかけ、村松とのエピソードで笑いを起こしたりと和やかだが、歌い出すとそれが一変。「冬のミルク」、「夏の残像」と、ソリッドにギターを奏で、ヒリヒリとしたテンションの高いヴォーカルで一息で会場を飲み込んでいく。凄まじい引力だ。360度のステージはストリップみたいだと語り、「STAND ALONE──ひとりで立つというのは人生のよう」と言って、「ピンクソーダ」で妖艶に、弾き語りで初披露の「無限の荒野」では合唱も巻き起こした。その一体感溢れる会場を感涙で包んだのは「きょう、きみと」と「キズナソング」。観客の心にダイレクトに突き刺さり深い部分で共振する、静かな高揚感に酔いしれるライブとなった。

アンコールのセッションでは、仲良く腕を組んで登場したふたり。よく一緒に飲んでいるというのがわかる、程よくユルいトークに観客を巻き込みながら、NCISの「Shimmer Song」、THE BACK HORNの「美しい名前」、松任谷由実のカバー「真夏の夜の夢」をセッションしたのだが、このハーモニーが秀逸。2度スタジオに入り仕上げたという圧巻の二重奏と、ふたりの声の力で濃密な時間を締めくくった。

text by 吉羽さおり

photo by 高田梓

【SET LIST】

■7月16日(日) 『STAND ALONE Vol.5』

<山内総一郎>

M1.ブルー

M2.水色と綿飴

M3.透明

M4.ミルクティー(UA)

M5.LIFE

M6.雨上がり(レミオロメン)

M7.虹

<藤巻亮太>

M1.指先

M2.天使達の歌(坂本サトル)

M3.蛍

M4.日々是好日

M5.南風

M6.TALI(YOSHII LOVINSON)

M7.北極星

<藤巻亮太×山内総一郎>

EN1.まるくおさまって笑顔(新曲)

EN2.若者のすべて

EN3.3月9日

■7月17日(月・祝) 『STAND ALONE Vol.6』

<村松 拓>

M1.Diachronic

M2.Stand By Me(Ben E. King)

M3.ツバメクリムゾン

M4.Adventures

M5.Sleepless Youth

M6.木綿のハンカチーフ(太田裕美)

M7.朱い群青

<山田将司>

M1.冬のミルク

M2.夏の残像

M3.ピンクソーダ

M4.無限の荒野

M5.きょう、きみと

M6.キズナソング

M7.花 〜すべての人の心に花を〜(喜納昌吉)

<山田将司×村松 拓>

EN1.Shimmer Song

EN2.美しい名前

EN3.真夏の夜の夢(松任谷由実)


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