Cocco、20周年記念武道館2daysライブが終幕

2017年7月16日 / 15:00

7月14日@日本武道館 (okmusic UP's)

7月12日と14日に日本武道館で行われたCoccoの2daysライブ「Cocco 20周年記念 Special Live at 日本武道館 2days」のレポートが届いた。

Coccoの20周年 Special Live at 日本武道館 2Days。1日目の「一の巻」はデビュー~中期を支えたサポートメンバーを迎え、当時を彷彿とさせるアグレッシブでオルタナティブなサウンドで素晴らしいライブを魅せてくれたが、2日目となる「二の巻」は、現在のCoccoをサポートしているバンドメンバーで編成され、Cocco自身とオーディエンスとで、この濃密な20年を振り返る大きな喜びに満ちた夜になった。椎野恭一(Drums)、鹿島達也(Bass)、藤田顕(Guitar)、粂絢哉(Guitar)、渡辺シュンスケ(Keyboards)からなる現在進行形のバンドサウンドは「一の巻」とはまた違った歌の風景を見せ、Cocco自身も気づいていなかった「歌う」ということの意味を、理屈ではなくオーディエンスである私たちも、はっきりと感じ取ることができた夜だった。

2001年に彼女が活動休止に入る前、最後にリリースされたシングル曲“焼け野が原”がオープニング曲だったことも示唆的だった。終わりが新たな始まりをもたらし、その始まりは終わりを告げることなく、今日ここまで来たこと──。続く〝ドロリーナ・ジルゼ〟では、鮮やかなブルーの衣装をたなびかせながら、しなやかな動きでCoccoがしなやかに舞う。その美しさには思わず息を飲む。MCをはさまぬまま、続けざまに9曲を、身体のすべてを使うかのように歌い切るCocco。「一の巻」でも披露された“強く儚い者たち”“Raining”“樹海の糸”なども序盤で披露された。同じ曲でありながら、初期メンバーとの「一の巻」では、Coccoの歌が孕む痛みや孤独がストレートに表現されていたが、この日は、ボトムの重さの中に穏やかさを感じさせるリズムが印象的だった。まるで二夜にわたって、Coccoが過去の曲に別の命を吹き込んで、はっきりと「もう大丈夫」と言っているようでもあった。Cocco自身も「一昨日とはちょっと違う感じがするね」と言っていて、それを楽しんでいるように感じた。

10代、20代の頃を振り返り、自身が一度、沖縄に帰って活動休止をしたことにも触れ、「まわりの大人が逃げるなって言っても、コウは逃げてもいいと思う。大事なのは生きることだから。逃亡して生きてたら、またこうして会えるし、自分も逃げていいんだよって言える大人になったことが嬉しい」と語りかけた。とは言え、この日のサウンドアレンジが円熟の一方向にだけ向かっていたわではなかった。特にこの夜の“カウントダウン”(デビュー曲)は超絶ヘヴィなバンドサウンドで圧倒され、フィードバックノイズから迎える最期の瞬間には、しばらくオーディエンスも声を上げることができずにいたほど。その余韻のままに“絹ずれ~島言葉~”へと続く流れもスリリングで、そのラウドでヘヴィなサウンドにCoccoの沖縄ルーツの歌唱が乗る、まさに彼女にしか表現し得ない世界を見せてくれた。

終盤、とびきり優美な白のドレスに着替えたCoccoが、“Never ending journey”を披露する前には、長い長いMCで、実はこの曲がリハーサルの時から思うように歌えていないと語り出し、「考えがまとまらない時って、(思いを)口にしたらわかってくること、あるでしょ?」と、この歌がうまく歌えない理由を、その場で考え始める。どんな歌もどんなフレーズも、適当に流すことなどしないCoccoらしい場面だった。曲ができた当時の思い出を振り返るうちに、「その頃の自分は、みんながCoccoの歌で救われたとか元気になったって言ってくれるから、自分の歌に力があるって思っちゃってた」と語り、「でも、歌に救われたって思ってくれるのは、それを拾い上げる人の力があったからなんだと思う」と、自分の考えを不器用に整理していくように、涙で顔をくしゃくしゃにしながら語り続ける。そして、「何かのためだとか、誰かのためだとか、恩着せがましいことじゃない、ただ歌えばいいんだね」と結び、「立ち会ってくれてありがとう」と何度も何度も感謝の気持ちを言葉にした。その後の“Never ending journey”が感動的だったのは言うまでもない。Coccoが全身で歌を歌う。今はもうそれだけでいい。その迷いのなさが頼もしく、そして私たちはそんなCoccoにまた癒されるのだ。

ラストは“有終の美”。小さな紙飛行機が舞うように、ハート形の大きな紙吹雪が会場中に降ってくる。そのハートに手を伸ばしながら、Coccoの力強くしなやかな歌声に包まれるエンディングは、これまでに感じたことのない幸福感に満ちていた。スペシャルなライブを無事に駆け抜けた安堵感と、今日ここでしか出会えなかった「歌」への気持ちとが、Coccoの笑顔に溢れていた。名残惜しそうに、会場中の一人ひとりに手を振るようにして、ステージを去ったCocco。裸足の歌姫が「歌うこと」に素直に向き合った今、次にまた届けてくれる歌を楽しみに待ちたいと思う。

Text by 杉浦美恵

Photo by 西槇太一
【WOWOW放送情報】
「Cocco 20周年記念 Special Live at 日本武道館 2days ~一の巻~」

9月10日 夜9:00〜

「Cocco 20周年記念 Special Live at 日本武道館 2days ~二の巻~」

9月10日 夜10:30〜

■番組URL

http://www.wowow.co.jp/cocco/
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