泉谷しげる「最後までパンク親父でいたい」45周年特別公演でまさかの出禁!? 客席へ乗り込んでいく69歳の凄み

2017年7月12日 / 21:15

 69歳にしてデビュー45周年を迎えた泉谷しげる。6月24日 EX THEATER ROPPONGIにて【泉谷しげる ユーキャンpresents<45周年特別公演> ライブ オブ レガシー ~LIVE of LEGACY~】なる強烈なワンマンライブを繰り広げた。

<ノンストップライブで体力の限界に挑戦……だから決闘です。内部崩壊です>

 事前のインタビュー(http://bit.ly/2t2QNyk)で「今までやったことないことを少しでもやりたいんで、第1部は新アルバム『舞い降りる鷹のように』を曲順通りにやるという。で、第2部はセレクションノンストップライブで体力の限界に挑戦。あと、藤沼伸一という素晴らしい天才ギタリストがいるんだけど、俺はそいつに対抗意識があるんで「おまえなんかいなくても出来るんだよ!」って俺がリードギターを弾いて、ドラムとベースと3人だけでやる時間帯も作ったりね。俺がただマーシャル使いたいだけなんだけど(笑)。それで「俺のリードギター、驚くなよ?」みたいな。だから決闘です。内部崩壊です」と語っていた同公演。この事前情報だけでもぶっ飛んだライブになることは想像できたが、さすがは泉谷しげる。70歳を手前にしても「最後までパンク親父でいたい」という発言を想像以上に体現する形で、満員の老若男女の度肝を抜いてみせた。

<だからせめて今日! 頼むから今日を自分の今日にしろ!>

 公言通り第1部は、ユーキャンにて絶賛発売中の『泉谷しげるの新世界「アート オブ ライブ」』(CD9枚と完全ニューアルバム1枚、140ページもの豪華カラーアートブックに全曲の歌詞集、その楽曲セレクトや執筆、ジャケット絵画など泉谷しげる完全プロデュース)より新作『舞い降りる鷹のように』を藤沼伸一(g)、渡邊裕美(b)、板谷達也(dr)、小林香織(sax,fl)と共に生再現。1曲目「レガシー」からペース配分など気にする様子もなく、張り上げられるだけの大声で歌い叫んでいく。

 「今日はよ、新しいアルバムの曲順通り歌わなきゃなんないという、面倒くさい作業が……大体、そんなことしたことないんだけど、なんか買わせようというこの魂胆。やらしいこの魂胆! 45周年とかそんなことはどうでもいいんだ! 別に興味もねぇしさ! ありがとうございます」とひねくれと素直さの入り混じった泉谷節でも喝采と笑いを生みつつ、「ライブの加減がちゃんと出来ない人なので、もし途中で倒れて出来なくなったら帰って下さいね(笑)。ヘタに応援しないように。(同公演はそれぐらい)長いです。覚悟して!」と今現在届けたい歌と音楽を惜しみなく披露する。

 「エレキやっちゃうぞ、俺やっちゃうぞ、俺のエレキに驚くなよ! 藤沼よ。俺のギターに驚くんじゃねぇぞ。こう見えてもな、フォーク上がりだけどな、俺はエレキもすげぇぞ! 69だからよ、気分はロックで行くぞオラ!」と伝説のギターヒーローを憑依させたかのごとく「ワイルドキッス」にギターを掻き鳴らしまくったり、逆にアコギと自分の歌声だけのフォーク然とした生々しいスタイルで二度と戻れない「青の時代」に想いを馳せたり、終盤ではまるでケモノのごとく獰猛に唸り声を上げながら「舞い降りる鷹のように」鋭い爪を無我夢中に振り回したり、夢のような“君との愛”を歌に換えて叫び続けたりと、ありとあらゆる泉谷しげるが我々を鼓舞し、時に涙腺を刺激してくる。

 そして第1部の最後「春夏秋冬」では、「一緒に歌ってくれ! 自分に向かって、自分だけの今日に! おまえたちの日常にもいろいろと大変なことがいっぱいあるだろう。だからせめて今日! 頼むから今日を自分の今日にしろ!」とステージへ向けたシンガロングではなくひとりひとりが自分に向かって「今日ですべてが終わるさ 今日ですべてが変わる 今日ですべてがむくわれる 今日ですべてが始まるさ」とそっと歌う瞬間を生み出した。

<俺たちのバンド名はよ、藤沼いらねぇバンド。いらねぇズだ!>

 およそ15分ほどの休憩時間を挟んで、45周年特別公演は第2部へ。歴代キラーチューンを畳み掛けるノンストップライブということで、それまで指定席に座って鑑賞していたオーディエンスが続々とステージ真ん前の最前線に駆け寄っていく。「おまえらよ、盛り上げてくれよ! 頼むぞ! 3人バンド(泉谷しげる(vo,g)、渡邊裕美(b)、板谷達也(dr))でやるからよ! 俺たちのバンド名はよ、藤沼いらねぇバンド。いらねぇズだ! 勝負してやろうじゃねぇか、藤沼!」とギターが巧過ぎる藤沼伸一への対抗意識から結成したバンドでもって、いつも以上にギターを弾き倒しながら、「おまえら盛り上がったフリしろぉぉぉ!」と煽りまくりながら「褐色のセールスマン」「終わりへの旅」など計3曲を披露。

 本人いわく「1,2曲だから盛り上がってるけど、これが5,6曲になるとイヤになってくる(笑)」とのことだったが、いらねぇズの(敬意も含んだ、しかも身内に対してのものではあるが)分かりやすい反骨精神と意地から生み出されるライブは実に痛快だった。特に最後の「終わりへの旅」における「生き急いで まともにぶつかって 粉々に吹っ飛んで それでもう終わりのはずだった」……といったフレーズたちをしわがれ声で叩きつけられる時間は妙に心地良くて、気付けば視界が涙で滲むほど。そんな3人バンドのエモーショナルなアクトに導かれるように小林香織(sax,fl)と藤沼伸一(g)が再登場すると、泉谷のシャウトと共に曲は「翼なき野郎ども」へ! かつて映画『狂い咲きサンダーロード』エンディングテーマとしても愛されたロックンロールがぶっとく鳴り響く。

<アクシデント発生! それでも客席へ飛び込んでいく69歳の凄み>

 当然ながら最前線へ駆けつけるファン続出! しかしこの熱狂ぶりを受けてアクシデントが発生する。「水さして悪いんだけどよ、消防法で前は来れねぇらしいんだよ。少し下がってくれ。係員入れてくれ。ここはそういうところじゃなかったみてぇだ! どこでも一緒だからすみません!」と警備スタッフを急遽招集し、そして「おそらくEXシアターは二度と使えないと思う(笑)」とコメント。この「45周年特別公演でまさかの出禁!?」といった事態においても笑いを生み、ファンも何故か拍手喝采でレスポンスするというパンク然とした=泉谷しげる然とした展開だったが、氏の本当に面白いところはこうしたアクシデントがすべて燃料にしかならないところだ。もちろん「もうちょっと下がれ!」と安全には気を遣いながらだが、その歌と演奏の熱量はひたすらに高め続け、最終的にはこれらの騒動をすべてフリにするような狂乱を生んでみせる。

 最後に「野生のバラッド」を歌い出した泉谷は、終盤になって「ジジイもババアも立ち上がって、最後のジャンプに挑め。おまえたちは体を動かさなさ過ぎだ! おまえたちのそういう座った生活がお腹を出すんだ!」「さっきから無理してノれって言ってんだろ! もうすでに規約違反やってんだよ! だから本当は場内バァーって回っていきたいんだけど、もう出来ないんだよ! だからおまえたちが無理矢理ノってくれないとさ、終わるに終われないんだよ!」とすべてのオーディエンスを奮起させ、共に思いっきりジャンプしながら歌い叫んでいく。しかしすでに3時間以上ライブを続けている泉谷は、この過酷な連続ジャンプを「これ、疲れるよ! 疲れる! やめよう! 俺が悪かった! まさか本当にやるとは思わなかった」と中断。しかし一度火の付いたファンの勢いは収まらず、ジャンプどころかステージ上で腕立て伏せを繰り広げる流れになってしまう。

 「なんの関係があるんだ(笑)。でも今日はね、背筋を伸ばしてもらって、運動してもらって、明日は体が痛い。これが健康の証だからな……何の話をしてるのかよく分からないけどさ」とボヤきながらも、全身全霊で連続ジャンプをするみんなの前で腕立て伏せ30回! そして先程「本当は場内バァーって回っていきたいんだけど、もう出来ないんだよ!」と言っておきながら地べたを這って客席へ乗り込んでいく。ファンにもみくちゃにされながら、広い会場を練り歩いて歌い叫ぶ泉谷しげる。「もう帰ろう! おまえらよ、もう帰ろうよ! 早く帰れ!」と暴言を吐きながらもひとりひとりのファンのもとへ向かっていく泉谷しげる。そしてようやく戻ることができたステージから「Oh なんてお前に伝えよう 騒ぎの好きな俺について」とガムシャラに歌い届けていく泉谷しげる。その凄み……もっと言えば、優しさとか愛みたいなものに涙が溢れて仕方なかった。

 口はめちゃくちゃ悪いけど、その音楽と言動は最高の笑顔を生み出す。「よし、おまえたち! 元気に帰れよぉー! あー、俺はダメだ……。でもこう見えても元気だからね。俺はキレッキレだよ。キレッキレ! ありがとうな、またな!」

<求められる限りいつまでも“無理”を続けていく泉谷しげる>

 「ファンの期待には応えますよ? その為には無理が出来るような体作りもしなきゃいけない。無理が出来ないとやっていけないんで。芸術は“無理”でしょ? 度を越えてやるところがみんな見たい訳で、そうじゃなかったら世界競技なんて有り得ない」とは泉谷の言葉だが、今これをやれる69歳のミュージシャンがどれだけいるだろう。求められる限りいつまでも“無理”を続けていく泉谷しげる、その動向に今後も要注目だ。

取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:Jumpei Yamada


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