【SPACE SHOWER Presents SPRING BREEZE 2017】爽やかな風が吹く中開催された都会の野外音楽イベントをレポート

2017年6月16日 / 22:55

 スペースシャワーネットワークが主催する、春のオムニバス・ライブ【SPACE SHOWER Presents SPRING BREEZE 2017】が、6月11日に日比谷野外大音楽堂にて開催された。第2回目となる本公演では、爽やかで清々しい風が吹く都会の真ん中の会場でライブを行うに相応しい全6組のアーティストが集結した。

 トップバッターで現れたのは、天下無双のハイブリッド未来音楽集団、bonobos。蔡(Vo./Gt.)が「ようこそ~」と言うと、宴のスタートを祝うかのような「東京気象組曲」を披露。聡明な歌声とバンドのエレクトリックな演奏が会場に響き渡る。続いて披露した「三日月のプリズム」では、観客は思い思いに身体を揺らし、蔡(Vo./Gt)の心に優しく触れるような歌声に酔いしれていた。「THANK YOU FOR THE MUSIC」や「Crusin’ Crusin’」と人気曲で会場を沸かすと、最後は「23区」でしっとりと聞かせステージは終了。曇り空を突き抜けて、どこまでも響き渡る歌声と演奏が心に残るステージとなった。

 続いて登場したのは、次世代音楽シーンの最先端を担う4人組ロックバンド、DATS。日比谷野外音楽堂は、2年前に大井一彌(Dr.)が加入するきっかけとなった場所。彼らにとって思い入れの深い場所での演奏となったこの日は、SEからの「Amazon」でスタート。鋭く刻むドラムのリズムが先導するように「Queen」へと繋げる。タワーレコードでの限定発売が即日完売したことも記憶に新しい「Mobile」から、「Netflicks」、「Patagonia」など6月にリリースしたばかりのファーストアルバム『Application』からの楽曲を中心に、目まぐるしく変わる楽器を駆使しながらたたみかけていき、会場を躍らせる。中盤では荘子itがラップで参加し、フロアのテンションは最高潮に。最後には4人で作り上げてきた「Candy Girl」で、ダンス・サウンドの中にあるエモーショナルなロックを響かせたそのステージに幕をおろした。

 3番手で現れたのは、天才バンド。まず奇妙礼太郎(Vo./Gt)が1人でステージに現れ、「こんにちは~」とゆったりとした奇妙節で挨拶すると、「天王寺ガール」の冒頭を熱唱。会場の温度は一気に高まる。そしてSundayカミデ(Chor./Pf.)、テシマコージ(Drs)が登場。個々のテクニックでアツい演奏を繰り広げるなか、「SHIBUYA STRUT」ではベースを持ったSundayカミデがステージから降りると、奇妙が「そんな所に行っちゃダメだー」と叫び笑いを誘う場面も。結果的に奇妙もステージを降りることになり、ステージ下で激しいセッションが繰り広げられ、会場を盛り上げた。その他にも、曲中にSundayカミデがボイス・パーカッションを挟んだり、歌詞を替えて合唱するなど自由なステージで魅了し、バンド名の通り個々の“天才”ぶりを見せつける内容となった。

 17時頃には、若手ロック界を牽引するロックバンド、DYGLが登場。4月にリリースした自身初のフルアルバム『Say Goodbye to Memory Den』のツアー中の彼らだが、まずは昨年リリースしたEP『Don’t Know Where It Is』の「I’m Waiting For You」からライブをスタート。「Come Together」「Take It Away」と立て続けに披露し、「調子はいかがですか?バッチグーですね!」とNobuki Akiyama(Vo./Gt.)の初々しいMCを挟みつつ、洋楽にも似た骨太のサウンドでどんどんオーディエンスを引き込んでいく。「次に歌う曲は遠いところにいる人に向けて作った曲ですが、時には近くにいる人にも当てはまるなと、最近思う曲です。」と「Thousand Miles」から、7インチで発売した「Waste of time」をプレイし、『Say Goodbye to Memory Den』にもある楽曲「Don’t Know Where It is」で締めくくった。ミディアムチューンからアップテンポまで彼らの魅力をぎゅっと凝縮したようなセットリストで、この日初めて知ったであろう観客までも虜にし、圧倒的な存在感を放った満足感のあるステージだった。

 日が暮れ、当たりが暗くなっていくなか、雨のパレードが登場。今までのポップスを打ち破りたかったと2017年3月にリリースした『Change your pops』収録の「speech (Interlude)」「free」を立て続けに披露すると、福永(Vo.)の優しい歌声とバンドのエレクトロな音で会場を包み込み、観客を彼らの世界観に引き込んでいく。MCでは、この日の曇り空を心配して「雨が降らなくて本当に良かった。全部俺らのせいになるから」と、バンド名に引っかけた話しをし、会場を和やかな雰囲気にする場面も見られた。福永の踊りながら歌う姿が印象的で、初めての野音とは思えない堂々としたパフォーマンスで「Tokyo」「new place」と人気曲を披露し、ステージを後にした。

 この日のトリを務めたのは、ハートウォーミングなフォークデュオ、ハンバートハンバート。「ごきげんよう~」とゆるめの挨拶で登場すると、日常会話のようなMCで会場を沸かせ、CMタイアップの楽曲「いついつまでも」では「ミサワホーム」の誰もが聞き馴染みのあるフレーズで、ようやく楽曲を理解した観客からの笑いと拍手が起きた。と、ここまで会場を笑わせ続けた2人だったが、「生活の柄」、「ぼくのお日さま」を続けて披露すると、優しい歌声とハーモニーにうっとりと酔いしれ、肌寒くなり始めた時間ですら暖かさを感じるようだった。7月5日に発売する3年ぶりのアルバムからの楽曲「がんばれ兄ちゃん」や、佐藤良成がギターをヴァイオリンに持ち替え演奏した「ホンマツテントウ虫」では「幸せなら手をたたこう」の中国語バージョンを披露し会場中をクラップさせたりと、和やかに時が過ぎていく。佐野遊穂がハーモニカソロを披露した「国語」で一旦本編を締めくくり、アンコールでは「おなじ話」を披露すると、2人の掛け合いが身に沁み入るように夜の日比谷に響き渡った。バンドの出演が多かったこの日だったが、ツッコミどころ満載のMCでもがっちりと観客の心を掴み、笑顔に溢れた温かいステージでこの日のイベントを締めくくった。

 Photo : マツシマ トヨヒロ

◎イベント情報
【SPACE SHOWER Presents SPRING BREEZE 2017】
2017年6月11日(日)
日比谷野外大音楽堂
出演:雨のパレード/DATS/DYGL/天才バンド/ハンバートハンバート/bonobos


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