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flumpoolが5月20日と21日の2日間、自身3度目となる東京・日本武道館での単独公演を開催した。
デビュー9周年イヤーを迎えたflumpoolだが、山村隆太(Vo/Gt)がMCでも語った通り、10周年という大事な節目の年を迎えるにあたって、今年はバンドにとっても勝負の年だ。メンバー曰く「あまり良い思い出がない」ものだった過去2回の武道館ライブ。苦い思いをした過去を精算し、間もなく踏み入れる次のディケイドへの助走の1年となる。結果から言うと、flumpoolは最高のロケットスタートを切った。気迫と自信に満ちたパフォーマンスと、ファンたちとの絆を再確認し合うような暖かい空気感が同居する、実に彼ららしい内容のライブを見せてくれた。
22日の最終公演、開口一番「武道館!!」と山村が叫び、「Touch」でライブの口火が切られる。メンバーが立つステージは360度客席に囲まれる形だ。初っ端からボルテージが上がりきった観客の歓声をメンバー4人と共に浴びるのは、磯貝サイモン(Key/Gt)、吉田翔平(Violin)の2人のサポート・メンバー。六位一体のステージングで、緑のレーザー・ライトが四方八方に錯綜した「覚醒アイデンティティ」、ギターを置いた山本がステージの端から端まで煽り周った「夏Dive」と、普段のライブとは趣の異なるステージ・セットも生かしつつライブを進めていく。
一方、山村が阪井一生(Gt)と共に繰り広げる漫才のようなMCトークはお馴染みの光景。山本が阪井の衣装をイジったかと思えば、阪井が山村の月9俳優デビューをイジり返し、さらにはバンドのキャリアと共に上がっていくファンの年齢もイジるなど、MCの時間は終始笑顔の絶えない和やかな雰囲気が漂っていた。
「“Re:image”というタイトルは“未来をやり直す”という意味でつけました。9に1を足すと10になるけど、その1には無限の可能性がある。未来のflumpoolの姿をもう一度イメージし直す。だからこの武道館が新たな始まりという意味で“Re:image”というツアー・タイトルにしました。今日一日頑張れば明日が変わる、みんながそんな風に前を向いていけるようなライブができればいいなと思ってます」と、今回の武道館ライブ、そして9月から始まる全国ツアーに込めた想いを語ったのち、「どんな未来にも愛はある」へ。
続く「花になれ」は、前半パートのハイライトだろう。2008年、メジャー・デビュー前にしてこの曲がau『LISMO』CMソングに起用されたことで、一躍全国に名が知れ渡ったflumpool。この日は、過去のライブ映像がスクリーンに映し出されたのち、メンバー4人が向き合う形で披露され、「十年後僕に この歌を捧げよう」という、いよいよ現実味を帯びてきた一節が印象的なものとなり、特に当時から応援を続けてきたファンにとっては感涙のアクトとなったはずだ。
幻想的な映像が映し出されたシースルー型のメッシュLEDの筒に包まれたメンバーは、煌びやかなエレクトロ・サウンドと共にインスト・セッションをスタート。そのまま「FREE YOUR MIND」「傘の下で君は…」「Over the rain ~ひかりの橋~」、そしてこの日の公演サブ・タイトルにもなっている最新曲「ナミダリセット」を立て続けに披露していく。回転するステージとメンバーに合わせて、様々な視覚表現を加えるこのLED演出がとても素晴らしく、音楽+α的なステージ・プロダクションの面でもメンバーのこだわりが感じられるパートだった。そして続く「ラストコール」でもそのスケール感は収まりを見せることなく、センチメンタルな陶酔感を漂わせたままラスト・タームへと向かっていく。
一方で、彼らがロック・バンドであることも忘れてはならない。ここからのflumpoolは、骨太なバンド・サウンドを生々しく響き渡らせるモードだ。尼川元気(Ba)の堅実なベースと小倉誠司(Dr)のダンサブルな4つ打ちビートが絡み合う「Blue Apple & Red Banana」では、バンドのへヴィ・グルーヴと観客のシンガロングが混ざり合い、螺旋状の高揚感へと姿を変えていく。阪井のギター・リフのパスから他メンバーのソロが順にキマっていく「Sprechchor」では、なにより演奏しているメンバーの楽し気な表情が印象的だった。コール&レスポンス、そして山本のロック・スターよろしく「愛してるぜ武道館!」の叫びから披露されたのは「World beats」。本編ラストを飾った「星に願いを」で巻き起こったシンガロングは力強く巨大なもので、会場の一体感は頂点に。
この日、合間合間で流されたアニメーション映像の物語が結末を迎えたところで、アンコールに応えた6人が再登場。「大切なものは君以外に見当たらなくて」で声を絞り出すように歌った山村は、「これまでバンドの危機にも何度も直面したし、まだまだ未熟な部分ばっかりです。だけど、それをいつも埋めてくれたのはみんなです。本当にありがとう」と話し、「1度目、2度目の武道館を超えるようなライブができました。みんなのおかげです。そんなみんなに届けたい歌があります」と、感謝と共に「君に届け」を披露。輝かしい照明が会場の隅々まで照らし出す中、万感の思い入り乱れる大団円を迎えた。
冒頭でも述べた通り、flumpoolはこの武道館2daysを皮切りに新たなステージへと向かって足を踏み出す。9月から始まる全国ツアー【flumpool 8th tour 2017「Re:image」】では、キャリア史上最高のライブを更新したこの2日間を更に超えるものを見せてくれることだろう。そして2018年、10周年を迎えた彼らの姿に今からますますの期待がかかる。
Photo by Kazumichi Kokei / Takeshi Yao
Text by Takuto Ueda
<5/21 セットリスト>
01. Touch
02. 覚醒アイデンティティ
03. labo
04. Natural Venus
05. 夜は眠れるかい?
06. 強く儚く
07. 明日キミが泣かないように
08. 花になれ
-Inst-
09. FREE YOUR MIND
10. 傘の下で君は…
11. Over the rain ~ひかりの橋~
12. ナミダリセット
13. ラストコール
14. Blue Apple & Red Banana
15. Sprechchor
16. World beats
17. 星に願いを
-En-
18. 大切なものは君以外に見当たらなくて
19. 君に届け
<5/22 セットリスト>
01. Touch
02. 覚醒アイデンティティ
03. 夏Dive
04. この時代を生き抜くために
05. 夜は眠れるかい?
06. Because… I am
07. どんな未来にも愛はある
08. 花になれ
-Inst-
09. FREE YOUR MIND
10. 傘の下で君は…
11. Over the rain ~ひかりの橋~
12. ナミダリセット
13. ラストコール
14. Blue Apple & Red Banana
15. Sprechchor
16. World beats
17. 星に願いを
-En-
18. 大切なものは君以外に見当たらなくて
19. 君に届け
◎公演情報
【flumpool 8th tour 2017 Beginning Special「Re:image」at NIPPON BUDOKAN】
<~ラストコール~>
5月20日(土)東京・日本武道館
<~ナミダリセット~>
5月21日(日)東京・日本武道館
◎ツアー情報
【flumpool 8th tour 2017「Re:image」】
09月16日(土)宮城・仙台サンプラザホール
09月18日(月祝)秋田県民会館・大ホール
09月23日(土祝)岐阜市民会館・大ホール
09月24日(日)富山県民会館
09月29日(金)北海道わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
10月01日(日)北海道・函館市民会館
10月06日(金)高知県立県民文化ホール・オレンジホール
10月07日(土)岡山市民会館
10月09日(月祝)愛知・名古屋国際会議場・センチュリーホール
10月10日(火)大阪・フェスティバルホール
10月13日(金)新潟県民会館・大ホール
10月15日(日)埼玉・大宮ソニックシティ・大ホール
10月21日(土)和歌山県民文化会館・大ホール
10月22日(日)奈良・なら100年会館・大ホール
11月01日(水)兵庫・神戸国際会館・こくさいホール
11月03日(金祝)徳島・鳴門市文化会館
11月04日(土)滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール・大ホール
11月12日(日)静岡・富士市文化会館ロゼシアター・大ホール
11月19日(日)群馬・伊勢崎市文化会館
11月22日(水)宮崎・宮崎市民文化ホール
11月23日(木祝)熊本・荒尾総合文化センター
11月25日(土)福岡・アルモニーサンク北九州ソレイユホール
11月30日(木)千葉・市川市文化会館・大ホール
12月02日(土)神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール
12月03日(日)神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール
12月09日(土)福井・福井市文化会館
12月10日(日)三重・桑名市民会館・大ホール
12月15日(金)広島上野学園ホール
12月16日(土)鳥取・米子市公会堂
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