玉置浩二、藤井フミヤら豪華出演者によるポップス・ロック&オーケストラ音楽祭【billboard classics festival 2017】レポート

2017年2月28日 / 17:30

 春の訪れを告げるポップス・ロック&オーケストラ音楽祭【billboard classics festival 2017】。2月18日・19日、東京国際フォーラムを舞台に日本の音楽シーンに輝くアーティストたちとオーケストラによるまさに“極上のプレミアムサウンド”が誕生した。フェスティバルには、国内外で活躍する出演者による華麗な競演とともに総勢200名余におよぶ管弦楽、 合唱団が登場、大友直人の鮮烈な指揮によってポップス・ロックの名作群が新しい音楽の生命を纏って披露された。

 音楽祭の“序曲”は、玉置浩二が世界平和を祈念し作曲した管弦楽作品「歓喜の歌」。期待に胸を膨らませた5000人もの観客にフェスティバルの始まりを告げる。大友直人の巧みな指揮のもと、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏が響き渡る。続いて、ベートーヴェンの「田園」が軽やかに奏されると、その旋律に絡み合うようにあのメロディーがあふれ出す。玉置浩二の「田園」だ。ベートーヴェンに導かれ玉置浩二が登壇。その圧倒的な歌唱力と存在感で、観客を一気に釘づけに。今回のフェスティバルで初めての披露となった「清く正しく美しく」では、横浜少年少女合唱団との初共演が実現した。60名を超す子供たちによる、まさしく曲名そのものの澄んだ歌声は、玉置の感情豊かな歌をつつみこんだ。終盤は、オフマイクで少年少女たちのコーラスをリードするなど、新しい挑戦の中で見事な融和を生み出した玉置浩二。割れんばかりの盛大な拍手の中、颯爽とステージを後にした。

 2人目はボサノヴァの世界の女王、小野リサが登壇。囁くような歌声とギターの音色がオーケストラと絶妙にハーモニーを奏で、会場は柔らかな雰囲気に包まれた。優しい明かりに満たされたステージで歌われる「イパネマの娘」。会場は、管弦楽と呼応する安らかな小野リサの世界に浸りきった。

 そんな心地よい空間を一気に熱くしたのが、石崎ひゅーい。感情を込めた歌を全身で表現することで知られる気鋭のアーティスト。この日もマイクを両手で力強く握り締め、オーケストラアレンジで生まれ変わった「花瓶の花」と名作「傷心」を熱唱。情熱的に表情を変える照明に照らし出され、マイクに掴みかかり、感情を高ぶらせて、瞬きをも忘れる圧巻のパフォーマンスで聴衆に大きなインパクトを残した。

 第一部、最後のステージは福原美穂。実力派ゴスペルグループ、ソウルバードクワイアの80人を超すエネルギーの熱量に張り合う福原のヴォーカル。オーケストラの金管楽器が唸りを上げる「ライジング・ハート」が披露される。万華鏡のごとく輝くステージに、会場から自然と手拍子が沸き起こった。明るい祈りに満ちたゴスペルのスタンダード曲「Oh Happy Day」、大切な人へ向けて作曲したと福原が語るバラード「Thank you」と、“福原美穂×オーケストラ×クワイア”という贅沢な時間が、第一部の最後を飾った。

 休憩後、第二部が始まる。2月18日の公演では、笑顔で手を振りながら現れたのが槇原敬之。その温かな笑顔に、会場からも笑みがこぼれた。槇原がこの日披露したのは、1991年に発表された「Answer」。軽やかで自在な優しい歌声と、壮大なオーケストラの演奏に、会場は一音も聞き漏らさないよう、静かに聞き入った。自身が初めて恋愛をした時のストーリーを10代の時に書いたという想い入れの深い一曲。オーケストラとの競演で、その大切な一曲を歌う日を楽しみにしていたと語る槇原。ハートフルな昂揚感の中、温かい拍手に見送られて舞台を後にした。

 2月19日の第二部最初に舞台に上がったのは沖仁。躍動する沖のフラメンコギターと、ジャンベとカホンという打楽器を自在に操るホセ・コロンとのデュオで「禁じられた遊び」を披露。会場を南欧の風が吹きたてる管弦楽の響きが加わり、次の曲は「スペイン」。変幻を続ける、息をのむ展開の音の中、沖のギターが魔法のような超絶技巧を繰り広げ、全く新しい音楽の魅力に観客は引き込まれた。

 転換をはさみ、薄暗くなったステージに白いワンピース姿で現れたAimer。オーケストラとの初めての共演となったこの日、彼女の切ない歌声、その神々しささえ感じられるパフォーマンスに、観客は耳をそばだてた。「悲しみはオーロラに」「六等星の夜」などの楽曲が、管弦楽の導く音色と繊細な調和を生み出す。薄明りの間接的な照明の中、視覚的にもオーケストラと一体となった歌声、存在感は、フェスティバルの錚々たるアーティスト達の中でも特に色濃く、独自のミステリアスな世界観で会場を魅了した。

 そして尾崎裕哉。ついに永遠の名作、尾崎豊「I LOVE YOU」初のフルオーケストラ演奏が実現した。迫力と優しさが溢れ出る真っ直ぐな裕哉の歌声、フルオーケストラとの共演が初めてとは思えないほど堂々とした姿勢で、この往年の名曲を歌いきった。オリジナル楽曲「始まりの街」で示した“尾崎豊の息子”ではなく、“尾崎裕哉”というシンガーソングライターの存在。未来に向かって走り続ける“尾崎”の姿に、すべての観客が拍手とともにエールを送った。

 そして、凛とした佇まいで村治佳織が舞台に上がる。世界的ギタリストとして評される、その華麗な指使いでギターを奏でる姿に、観客は釘つけとなっていた。“ワールドワイド”なギター演奏とオーケストラがコラボレーションすると、音楽表現の幅がここまで広がるかということを魅せつけたステージとなった。フェスティバルの終盤を感じる中で、いつまでも聞いていたくなるような優雅な旋律、一音一音磨き抜かれた音の粒が、管弦楽の海の中でたゆたった。

 この音楽祭のトリに相応しく、最後に登場したのは藤井フミヤ。いつまでも色褪せることない傑作「TRUE LOVE」と「Another Orion」が、オーケストラアレンジによってより荘厳なラブソングとなり、聴衆は思わず息をするのも忘れて見惚れた。「トワイライト」では、ターンやステップを披露、観客もアップテンポな曲に合わせてリズムを刻んでいた。フェスティバル最後の一曲は、聴衆を魅了し続けるラブソングの名曲「夜明けのブレス」。伸びやかな歌声と幾重にも重なるオーケストラサウンドが続く、そして曲の終盤でビックサプライズが起こった。フミヤがマイクを外し、その生の歌声を東京国際フォーラムの大空間を隅々まで満たしたのだ。フミヤのまさに奇跡のパフォーマンスによってこの稀有な音楽祭は熱い感動の世界に包まれ、その大きな幕を下ろした。

◎公演概要
【billboard classics festival 2017】
2017年2月18日(土)・19日(日)
東京国際フォーラム ホールA

出演:
玉置浩二、小野リサ、福原美穂、Aimer、藤井フミヤ
スペシャルゲスト:
(2月18日)槇原敬之、村治佳織、石崎ひゅーい、尾崎裕哉
(2月19日)沖 仁、村治佳織、石崎ひゅーい、尾崎裕哉

指揮:大友直人
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:横浜少年少女合唱団(玉置浩二)、ソウルバードクワイア(福原美穂)

URL:http://billboard-cc.com/classics/


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