グリーン・デイ ベルギーで行われたワールドツアーの模様をレポート

2017年2月14日 / 18:00

 去年10月通算12枚目のスタジオアルバム『Revolution Radio』を発表したグリーン・デイがワールドツアーをスタート。その名も『Revolution Radio Tour』。ヨーロッパからスタートし、北米、オセアニアを回る大規模なもの。今回はベルギー・ブリュッセル公演をレポートする。

 会場はベルギーのブリュッセル市内のダウンタウンに近い便利な場所に立地する8000人規模のコンサートアリーナ。フランス語とオランダ語の2つの公用語を持つ土地柄で、会場名はForest NationalとVorst Nationaalと2つの名前がある。

 会場には、ボヘミアンラプソディーが流れ観客が歌いメンバーを待つと、照明が暗転。ステージに謎のウサギの着ぐるみが登場し、観客の歓声を煽り会場を温めた。そしてステージのカーテンがはぎ取られ、ニューアルバムのアートワークのブームボックス(ラジカセ)が登場。ステージ中央にトレのドラムセット、両脇にはフェンダーのアンプが12個置かれ、爆音ステージ間違いないと確信したところで、割れんばかりの歓声の中ビリー、マイク、トレの3人は両手をあげ、ジャンプしながら登場した。

 トレのドラムのイントロが始まるとすぐさま観客は反応する。1曲目は「ノウ・ユア・エナミー」。ビリーが野太い声で「レッツゲットクレイジー!」と叫ぶと、それが合図かのようにフロアでサークルモッシュがあちこちに起こる。マイクも右手拳を築き上げ、足を踏みスタンド席を指差し観客を煽りに行く。

 ビリーが「誰が俺らの敵(エネミー)が分かるか?」と言うと、サビの「Do you know the enemy?」で観客を煽り、8000人の大ジャンプにフロアが揺れた。ステージ中央には花道があり、ビリーがその花道を全速力で走って来てアリーナ中央から、全ての観客に向けるよう両手を広げて8000人のエナジーを受け止めると、ステージ背後のセット上から一連に火の粉が落ち、ナイアガラの滝のような花火の仕掛けで観客のボルテージを一気に引き上げる。

 ライブ中盤には代表曲「ロングヴュー」のイントロの中、ビリーがステージ中央でギターを頭上に掲げ「And I’m fucking lazy」と叫ぶと、ステージバックに掲げられていた『Revolution Radio』のアートワークが落ちて、大きなGreen Dayの文字が登場する演出で会場を大いに盛り上げた。

 さらに、マイクとビリーがステージ端から端へと走り左右後方の観客に向けOi Oiコールを煽る。すると、コールが続く中、ビリーが「なんてこった!信じられるか?この俺としたことが歌詞を忘れちまったぜ!1993からずっとやってるこの曲だぜ!誰か代わりに歌えるやついないか?ステージに出て来て俺の代わりに歌ってくれ」と観客を探し始めた。たくさんの観客が自分が歌えると手を上げてアピールする中、赤い髪の女性が選ばれステージ上げられた。女性がすぐさまトレの元に駆け寄り歌い出す。その後ビリーとマイクと一緒に歌う。途中観客を煽ったりもして素人とは思えないステージパフォーマンスに観客も拍手喝采。曲を終えると女性はドラムセットから走り降り、花道を通って観客に向かってダイブ!会場はハイスクールパーティーさながらの熱狂に包まれた。

 新曲「トラブル・タイムス」ではベースラインに乗って手拍子が起こる。エモーショナルでメロディアスなメロディーにビリーのヴォーカルが生える。照明が青からグリーンに変わり「So don’t think twice」のフレーズの後、ビリーが「Say!」とマイクを観客に向け、サビの「We live in troubled times」をオーディエンスと共に合唱。ビリー&マイクは観客と一緒にジャンプしながらコーラスに徹し、会場はこの日一番の躍動感と一体感に満ちた。

 ビリー節も健在で、「ファックユー!ドナルド・トランプ」と叫び観客もそれに続く。終盤に披露した新曲「スティル・ブリージング」はメロディアスな楽曲で、リリックが観客の心を掴む。「Thank you Thank you Thank you Thank you」と、ビリーが何度も何度も繰り返す姿が印象的だった。

 アンコールはやはりこの曲「アメリカン・イディオット」。ブッシュ政権下イラク戦争を批判しこの曲を作ったグリーン・デイ。当時と今は状況は異なるものの、彼らは臆することなくステージ上で正々堂々とトランプ政権への憤りや、差別や偏見を批判し、今世界で起きている問題を歌を通して世界に雄弁に投げかけている。今また声を上げるべきだということを。誰もが思っていても反撃されることを恐れて言えないことを彼らが伝えてくれる。そしてこの会場にいる人達はこの曲に込められた思いとバンドの意をしっかりと受け止めて、こうして一緒に歌っているのだ。

 そしてラストソングは、ビリーのアコースティックギターのソロで始まる「グッド・リダンス (タイム・オブ・ユア・ライフ)」 照明は落とされ観客のスマートフォンの光がメロディと一緒に揺れる。ビリーとマイクはステージ中央に立ち、一本のマイクで美しくパーフェクトなコーラスを奏でる。演奏を終え、紙吹雪が舞い散る中ビリー、マイク、トレの3人が肩を組み観客にお辞儀する。観客の拍手が鳴り止まない中、大団円でショーは幕を閉じた。

 アンコール2回、合計30曲のボリューム満点ロングステージは、仕掛け花火に、爆音花火、火の玉ボムに放水銃をぶっ放し、観客をステージに上げ一緒に歌い、ギターセッションと、観客一体型のエンターテイメントパークにいるかと錯覚してしまう前代未聞の楽しすぎるステージ。そして彼らのキャリアの集大成を見るようなセットリスト。1stアルバムから最新曲まで新旧交えヒットパレードの連続でデビュー当時の17年前と変わらないどころかパワーアップ&アップグレードしているではないか。

一貫してぶれない姿勢と彼らのこれまでの積み上げて来たキャリアの偉大さを、このステージでまざまざと見せつけてくれた。そんなグリーンデイに心酔しっぱなしの2時間半だった。

Photo & Text : ERINA UEMURA

◎セットリスト
1. ノウ・ユア・エナミー
2. レボリューション・レディオ
3. ホリデイ
4. レターボム
5. ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス
6. トラブル・タイムス
7. ロングビュー
8. ヤングブラッド
9. 2000 ライト・イヤーズ・アウェイ
10. ヒッチン・アライド
11. ホェン・アイ・カム・アラウンド
12. ウェイティング
13. バーンアウト
14. エイミー
15. スキャッタード
16. マイノリティー
17. アー・ウィー・ザ・ウェイティング
18. セイント・ジミー
19. バン・バン
20. ノウリッジ (オペレーション・アイビーのカバー)
21. バスケット・ケース
22. シー
23. キング・フォー・ア・デイ
24. サティスファクション(ザ・ローリング・ストーンズのカバー) / ヘイ・ジュード (ザ・ビートルズのカバー)
25. スティル・ブリージング
26. フォーエヴァー・ナウ
– アンコール –
27. アメリカン・イディオット
28. ジーザス・オブ・サバービア
– アンコール –
29. オーディナリー・ワールド
30. グッド・リダンス (タイム・オブ・ユア・ライフ)

◎リリース情報
グリーン・デイ『レボリューション・レディオ』
WPCR-17515 / Warner Music JAPAN
2,300円(tax out)


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