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ポール・マッカートニーが、ビートルズ時代の楽曲に関する版権の返還を求めて音楽出版会社のソニー/ATVを提訴したと2017年1月18日に現地で報道されたばかりだが、そもそもどういう経緯で彼は自分の曲の版権を失うことになってしまったのだろう。
ビートルズ誕生からの長い歴史の中で紆余曲折を経てきたレノン/マッカートニー楽曲の版権に関する経緯をタイムラインにまとめてみた。
1963年:1963年3月にビートルズのデビュー・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』がリリースされ、マネージャーのブライアン・エプスタインがマッカートニー、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターが書いた曲を管理する出版会社を探していた。結局エプスタインは音楽出版に携わっていたディック・ジェイムズを筆頭株主として<ノーザン・ソングス>を共同出資で立ち上げ、レノンとマッカートニーがそれぞれ20%ずつ株を保有することになった。
1965年:<ノーザン・ソングス>が株式公開したことにより、レノンとマッカートニーの持ち分はそれぞれ15%になり、ハリスンとスターはわずか数パーセントを分け合う形となった。ハリスンはこの時の待遇への不満を1968年の「オンリー・ア・ノーザン・ソング」に込めている。
1969年:ビートルズとジェイムズの関係が悪化し、ジェイムズは<ノーザン・ソングス>の自身の持ち株をATVミュージックに売却した。同年にレノンとマッカートニーは持ち株をATVに売却し、自分の曲の著作権を手放すことになった。
1985年:ATVが売りに出され、マイケル・ジャクソンが購入した。ちなみに1982年のコラボ「セイ・セイ・セイ」の制作中にマッカートニー本人がマイケルに版権ビジネスの重要性を教えたとされている。マイケルはATVの4,000曲分のカタログを約4,750万ドル(54億円)で購入し、約250のレノン/マッカートニー楽曲を所有することになった。
1995年:財政難が噂されていたマイケルが、ソニーに約1億ドル(113億円)でATVの半分を売却。マイケルとソニーがそれぞれ50%の持ち分でソニー/ATVミュージック・パブリッシングを立ち上げた。
2006年:財政難が深刻化していたマイケルの救済策として、ソニーが彼の代理としてローン返済の減額交渉を行い、マイケルの持ち株の半分を購入する権利を獲得した。カタログは当時約10億ドル(1,137億円)の価値があったとされ、もしマイケルが破産していたら彼の持ち分はオークションにかけられていただろうとニューヨーク・タイムズが報じている。
2009年:マイケルの死去により、彼の遺産管理財団がカタログを管理することになった。
2016年:ソニーが正式にマイケル・ジャクソン遺産管理財団からソニー/ATVの残り50%の持ち株を約7.5億ドル(853億円)で取得し、レノン/マッカートニーのカタログを含む750,000曲の単独所有者となった。
2018年~:1976年に成立した米国著作権法によると、1978年以前にリリースされた作品に関しては、最初の著作権所有者が56年後(2度の28年の期間から成る)に版権を取得することが可能で、初期のビートルズの楽曲は2018年、後期の楽曲は2026年が56年目にあたる。
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