倖田來未 全国47都道府県ツアーで現実や常識をぶち破った2016年~2度目の日本一周に踏み出す2017年へ

2016年12月28日 / 17:00

 初となる全国47都道府県ベストシングルコレクションツアーを敢行する等、今年も攻めの姿勢で注目を集めた倖田來未。そんな国内トップクラスのボーカル/ダンス/エンターテインメントで日本中を熱狂させた彼女の2016年を振り返りたい。

<「私のことを好きって言ってほしい」バラード集から始まった2016年>

 2016年の倖田來未は、バラードコレクションアルバム『WINTER of LOVE』のリリースからスタート。全力で駆け抜けた15周年イヤーを経て発表された今作には、彼女のアイデンティティのひとつ“エモーショナルに歌い上げるラブバラード”ばかり収録。当時のインタビュー(http://bit.ly/2hsDH7Q)で「どんなバラードを歌うにしても変わらずあるのは、愛情を込めて歌うこと。その世界観に入りきること」「私、プライベートではほとんど泣かないんですよ。だけど、ライブでバラードを歌うと必要以上に感情が昂ぶっちゃって泣いちゃう。歌の世界観に入り込むとぶわぁ~って気持ちが溢れてくるんですよね」と本人も語っていたが、歌い出すとコントロールが出来なくなるほどの想いに溢れたバラード集は、改めて倖田來未のボーカリストとしての個性や生き様を強烈に体感させる作品となった。

 また、今作に収録された新曲も「「NO ME WITHOUT YOU」はファンのみんなに「いつまでもアンコールを聞かせて」っていうメッセージを込めていて、私はいつかアンコールを言ってもらえなくなる、いつかライブが出来なくなる、人が集まらなくなるんじゃないか? っていう危機感が常にあるんです。売れる前は「早く売れたい!」ってがむしゃらだけど、売れた後って「いつまで続けられるんだろう?」っていう危機感を抱き続ける。怖いんです。だから「NO ME WITHOUT YOU」は「やっぱり求めてほしい」「私のことを好きって言ってほしい」って想いを込めていて、だから歌うと涙が溢れてきちゃう」

 「「On And On」はファンの子たちが「自分に向かって歌ってくれてる」って思えるようなミュージックビデオにしたかったんですよね。それで「ちなみになんですけど、スマートフォンで撮った映像って使えますか?」って見せてもらったら「ええやん」みたいな。そっちのほうが手ブレ感とかがすっごいリアルで良かったんですよね。それで「こっちを使いたい」と言って監督を困らせたりもしたんですが(笑)、すごく良いミュージックビデオになったと思います」と本人が語っている通り、楽曲もミュージックビデオもファンの存在を一番に意識した作りとなっており、15周年を経ても絆の強さに変わりがないことを明確にしてみせた。

<初の全国47都道府県ツアー敢行! インフルエンザで初日延期となるも……>

 そんなファンへの想いはアルバムのみならず、初の全国47都道府県ベストシングルコレクションツアー【KODA KUMI LIVE TOUR 2016 ~Best Single Collection~】という形でも露わになる。「今回は今まで行ったことがない場所へも行くので、今までやったことがないシングルコレクション的なツアーにしようと思っています。初めて行く場所で「恋のつぼみ」とかね、誰もが「知ってる!」ってなる曲を歌ったら喜んでくれるかな? って純粋に思ったんですよね。みんなが口ずさめるような、そういう意味での一体感が生まれるライブが出来たらいいなって思ってます」と新たなチャレンジ、ミッションへと踏み出した。インフルエンザで初日が延期となるアクシデントはあったものの、その悔しさすら力に換え、約8か月間にもわたって全国各所で愛情溢れる強烈なパフォーマンスを展開していく。

 15周年イヤーの集大成とも言えるアニバーサリーライブ【KODA KUMI 15th Anniversary LIVE The Artist】(http://bit.ly/1nmZwUL)に登場したジュークボックス。その内部を巨大化したセットが今回のツアーでは組まれており、オープニングナンバーである新曲「Shhh!」の盤がプレイヤーに設置され、レコード針に見立てたクレーンがそこへ落とされるとイントロダクションが流れ出し、なんと倖田來未はその巨大クレーンの上でシャウト! 胸元露わなシースルー衣装で歌い踊り始めるという、相変わらず想像の斜め上行く衝撃パフォーマンスでライブの幕を開ける。そのまま生バンドとダンサーを従える形で「第47回日本レコード大賞」をも受賞した出世作「Butterfly」へ。時に口元をロックンローラーのように引き上げながら色気全開、会場の熱量をさらに膨張させていく。その間、ファンは彼女の一挙手一投足にワーキャー叫んだり、腕を振り上げながら叫んだり、共に歌い叫んだり、とにかく叫びっ放し。

 それは続く「WON’T BE LONG~Red Cherry Version~」やキラーチューンのメドレーでも変わらず。満員のオーディエンスが共に歌い踊れる喜びを全力で表現しながら、歴代ヒットナンバーを次々と生で体感できるプレミアムタイムを満喫していた。

<泣きながらのバラード熱唱! 宙を舞いながら溢れ出す愛情を表現する場面も>

 また、中盤では、バラードのメドレーも。例のジュークボックスからランダムに楽曲がセレクトされ、各曲の名作ミュージックビデオの中に今の倖田來未がタイムスリップし、当時の倖田來未とまさかの共演を果たすスペシャル演出も挟みつつ、公演によって「Promise」「hands」「anytime」といった組み合わせや「1000の言葉」「you」「奇跡」という流れで、直接琴線に触れてくる名バラードを立て続けに披露していく。その後のアコースティックライブのコーナーでは「恋しくて」を泣きながら熱唱した公演も。さらに「Moon Crying」のパフォーマンスでは、回転するステージの上で満月に照らされながら歌い、中盤からはエアリアルティシューで宙を舞いながら会いたい人に会えない悲しみ、溢れ出す愛情を表現するという、エンターテイナーとしての極限への挑戦の中でも我々の涙を誘った。このあまりにエモーショナルでアーティスティックであったバラードセクションは、この先も伝説的な名アクトとして語り継がれていくことだろう。

 そんな振り切れた表現を終えた後もサプライズは止まらない。スクリーンに「あなたのためにとっておきのティータイムをご用意しました。私と素敵な時間を過ごしてください。KK」と映し出されると、ファンクラブから選ばれたラッキーな1名と、会場から選ばれたラッキーな1名がステージに招かれるのだが、そのふたりが腰掛けた目の前にウェディングドレス姿の倖田來未が登場! そのまま「恋のつぼみ」を歌い始め、ふたりの耳元で「めちゃくちゃ好きやっちゅーねん♪」、さらにはケーキを「あーん」と食べさせてあげつつその場で記念撮影までと、一生忘れられないであろうVIPサービスをプレゼントする。各バンドメンバーvsダンサーの超絶バトルから突入した本編クライマックスでは、その身をよじらせるように全身全霊で歌い踊る「Dance In The Rain」で度肝を抜き、これほど「爆発的」という表現が似合う歌とダンスを同時に繰り出せる表現者は滅多にいない、そう痛感させる倖田來未のボーカル/ダンス/エンターテインメント……あらゆる表現方法の究極形態がその後も惜しみなく披露されていく。この模様は、絶賛発売中のDVD/BD『KODA KUMI LIVE TOUR 2016 ~Best Single Collection~』にも収録されているので、ぜひその目と耳で直接体感してみてほしい。現実や常識をぶち破るライブがここにはある。

<「最高の人生やったな」と思える人生を送ってほしい>

 これまでの倖田來未を超えていく。そんな意思すら感じさせた全国47都道府県ツアーはどの公演もこれまで同様「walk~to the future~」で締め括られたのだが、その直前、初の地元・京都凱旋公演で語られた彼女の言葉をここに記したい。「16年経ってやっと京都でライブが出来るようになったんだなと……時間はかかりましたけど、こうやって京都のステージに立てて本当に幸せに思っております。私的には18でデビューして、高校の卒業式からそのまま新幹線で東京に行って「デビューして頑張るんだ」みたいな感じでやってましたけれども、それで世の中にどんどんどんどん出て行って、倖田來未っていう人を知って頂く環境を頂くんですけれども、その反面、セクシーなファッションをしていると京都の実家では「なんちゅう格好でお宅の娘さん歌ってるの?」みたいなことを両親が言われてしまったりだとか……で、当時ね、「大丈夫?」って聞かれたら「大丈夫、大丈夫!」とか言いながら笑顔でいて……その気持ちの切り替えみたいなものが当時は難しくて、あのときは嬉しいんやらツラいんやら両方の気持ちがあって、だけど、自分が伝えたいメッセージを音楽に乗せて伝えるっていう、それをゴールとして持っていたから「これ、途中で辞めたらアカンな」と思って、ツラかったですけど、ツラいときこそ「大丈夫!」って笑顔で頑張ってたなって今振り返ると思うんですね。

 なんか「京都っぽくないですよね」って言われることが残念ながら多くて、それで京都にライブとかで行ったときに「受け入れてもらえんのかな?」って思ったりして、なかなか帰ってこれなかったっていうのが実際あったんですね。そういう意味では、15周年迎えまして、今年16年目に入って「自分にとってリスタートだな」って今回思って京都でライブさせて頂くことになって、本当にね、帰ってきて良かったなと。生まれ育ってたくさん素敵な感情や想いを受け取ってきた場所だったから、京都でライブが出来て本当に嬉しく思ってます。こうしてやっと自分の伝えたいメッセージを聞いてもらえる環境が出来たから、みんなの背中をもっともっと押せるような曲を作っていけたらいいなと思っております。短い時間だったけど、すごく楽しかったです。皆さんも人と比べられること、人生の中ですごく多いと思います。私もそうでした。だけど、やっぱり「人がどう思うかでなく、自分がどう生きたか」。振り返ったときに「あ、最高の人生やったな」と思える人生を送ってほしいですし、ツラいときには笑顔でね、立ち向かってほしいなって思います」

<立ち止まることを知らないポップディーヴァ 再び全国47都道府県ツアーへ>

 いつでも倖田來未は愛や夢や人生について語り、歌ってきた。それは15周年を越えた今も変わらず。むしろ多くの絶望と希望を味わった分だけソレは人々の胸に強く突き刺さるようになった。何を発信しても揚げ足を取られるような時代に、純粋なメッセージが鼻で笑われしまうような時代に、それでも前述のように人間臭く涙ぐみながら語り、そして歌える倖田來未の存在は尊い。自らの人生を懸けてでも誰かの背中を押さずにはいられない、いつでもファンの側にいようとするポップディーヴァ・倖田來未。

 その姿勢は、誰もが予想だにしてなかった展開を生んだ。この初の全国47都道府県ツアー最終公演となった沖縄の地で、なんと2017年も全国47都道府県ツアーを敢行することが発表されたのである。元々「誰もしてないこと」や「前代未聞」という言葉が大好きな女の子ではあったが、ここに来て2年連続で日本一周。それはいつまでも攻め続けることを決めた倖田來未らしい選択でもあるし、いつでもファンの側にいたい。その想いが反映されたものでもあるだろう。今回の【KODA KUMI LIVE TOUR 2016 ~Best Single Collection~】のラストシーン、例のジュークボックスは60枚目のシングルを選び、彼女がその曲をレコーディングブースで歌い出そうとしたところで幕を閉じたのだが、果たして2017年の倖田來未はどんな歌を届けてくれるのか。2度目の全国47都道府県ツアーではどんなステージを届けてくれるのか。ぜひその動向に注目してもらいたい。

取材&テキスト:平賀哲雄

◎リリース情報
DVD/BD『KODA KUMI LIVE TOUR 2016 ~Best Single Collection~』
2016/11/16 RELEASE
01.Shhh!
02.Butterfly
03.WON’T BE LONG~Red Cherry Version~
04.BUT / Lollipop
05.Trust Your Love / love across the ocean / real Emotion / TAKE BACK / Someday
06.Crazy 4 U
<INTERLUDE MOVIE 1>
07.1000の言葉 / you / 奇跡
08.恋しくて
09.Moon Crying
10.恋のつぼみ
11.I’ll be there
12.愛のうた
13.君想い
<Band and Dancer Part>
14.Dance In The Rain
15.Can We Go Back
16.人魚姫 / FREAKY
17.POP DIVA
18.Dreaming Now!
19.Lick Me□(□=ハート)
20.With your smile
<INTERLUDE MOVIE 2>
En1.キューティーハニー / Shake It Up / LALALALALA / WIND
En2.walk~to the future~


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