【前編】アリシア・キーズ/ジャスティン・ティンバーレイク/ジョン・レジェンド/ファレル/スティング/トーリ・エイモス豪華対談~音楽との出会い、“ヒット”から若手へのアドヴァイスを語る

2016年11月26日 / 15:00
 アリシア・キーズ、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョン・レジェンド、ファレル・ウィリアムス、スティング、トーリ・エイモスの音楽界を代表する6人のシンガー/ソングライターによる豪華対談が、ハリウッド・リポーター誌によって行われた。
 
 音楽との出会い、“ヒット”から若手へのアドヴァイスまで多岐に及んだこの対談の一部を前編と後編にわけてビルボード・ジャパンがお届けする。なお、この対談の全編は、現地時間2016年11月26日に米サンダンスTVにて放映される。
 
◎音楽に目覚めたのはいつですか?
アリシア・キーズ4歳ぐらいの時で、その瞬間までよく記憶してる。クッキー・モンスターが歌った曲…
ジャスティン・ティンバーレイク:「C Is for Cookie」?
アリシア:いいえ、「I Left My Cookie at the Disco」よ。もう1曲は「It’s Not Easy Being Green」。
ジョン・レジェンド:その曲大好きだよ。
アリシア:それに加え、当時の音楽好きな先生が演劇や歌うことを後押ししてくれて「Somewhere Over the Rainbow」を習ったの。これらのことが重なって、歌うことを学び、歌うとどんな気持ちがするのかを教えてくれた。その感情というのは言葉に表せないもので、いまだに表現できない。
ファレル・ウィリアムス:元々、人は音楽が大好きなんだって思ってきた。誰にでも、スティーヴィー・ワンダーやアース、ウィンド&ファイアーやスティーリー・ダンの曲やブリッジで「そう、この部分だよ!」と思うようなパートがあって、それが当たり前なんだと思ってた。でも、中学に入ってそんなことを言った時には…
アリシア:誰も理解してくれないのよね。
ファレル:で、「ヘンテコなズボンを履いてるのはわかってたけど(笑)…ズボン以前の問題だったんだね。」って目で見られたりして。
 
◎ここにいる全員、これまで大ヒットを収めてきました。ジャスティン、映画『トロールズ』の2人の監督が言っていたのですが、映画に起用されて書いた曲にみんなが驚かされたそうです。そしてあなたは、「これはヒットになる。」と言ったそうですね。
ジャスティン:嘘だ!
アリシア:本当は言ったの、わかってるくせに。
ジョン:絶対言ったでしょ(笑)。
ジャスティン:言ってないよ。それは監督が、元の話よりファッキン意味があるように話を誇張したんだ。汚い言葉使ってゴメン。
 
◎でも、そこから「Can’t Stop the Feeling!」が生まれたんですよね。曲を書く時、“この曲はヒットするな”という感触はありますか?
ジョン:曲を書き終えたばかりの時は、どの曲にも恋してる。そこが僕の悪いところなんだけどね。曲を書くことの悦びの一つは、曲を完成されたときに感じる「あぁ、いい気持ちだ」という満たされた感情で、それは曲を書き終えるたびに感じてる。でも逆にその高揚感は信頼できないから、数か月経った後に初めてどの曲が特出しているか気づくんだ。
ファレル:「これはヒットになる」って言うような人は、それをわざわざ八ッシュタグにしちゃう人と同じように失敗する。分かる?とりあえずハッシュタグを作って行動を呼びかけるのと一緒で目標は達成できない。でも、思いがけないような人が、その人にとって本当に意味のあることを発言する。それが素晴らしいハッシュタグになるんだ。だからハッシュタグやヒットは、僕ら自身が関与することではない。僕らは観念化するだけ。それに人々が反応する必要はない。その保証はないんだ。
スティング:僕がソングライターとして、これまでもらった最高の褒め言葉は、「あなたの曲を聴きながら恋に落ちた」や「第一子が生まれて、初めて家に連れて帰ってきた時にあなたの曲がラジオで流れていた」や「あなたの曲とともにチャーリー伯父さんを埋葬した」というものだ。それは、どんなノミネーション、【グラミー賞】、【BMI賞】なんかよりも価値のあるものだ。偶然にだけど、人々の日々の感情のサウンドトラックになること、それこそ素晴らしい名誉さ。
 
◎トーリ、これまで自分の意志と違う方向へあなたを導こうと試みた人はいましたか?
トーリ・エイモス:『リトル・アースクウェイクス』を提出した時、却下されたのよ。
ジャスティン:あのアルバムは、僕の人生を変えたと言っても過言ではない。ものすごく素晴らしい作品だ。
トーリ:ピアノのパートをすべてギターにしようとした。
ジャスティン:え?
トーリ:本当よ。これはある人のアドヴァイスで―その人の仕事は尊敬していたし、素晴らしいアレンジャーだけど、理解してもらえなかった。彼は音楽業界の人で、過去に起こったことを追い求めていた。トレイシー・チャップマンは、その頃すでにデビューしていた(から彼はそれを追い求めていた)。そこで、敬愛するダグ・モリス(その当時の<アトランティック・レコーズ>のCEO)に言ったの「ピアノ・パートには指一本触れさせない。それが嫌だったら、ギャリー・ガーシュ(当時の<ゲフィン・レコーズ>のA&Rトップ)へ私を売って。」って。すると(頭をノーと横に振りながら)私の方を見たから、「なぜ?何千年も私たち(女性)を身売りしてきたでしょう?私をギャリーへ売って、損はしないと思う。彼はどうするべきかわかってるから。」って言ってやったの。そしたら「トーリ、君のことは手渡さないよ。もしギャリーが君のことを欲しいんだったら、僕も欲しいから、君には留まってもらう。誰にプロデュースしてほしいんだ?」って聞かれたから、「え、他の男に任せるの?それがあなたの意向?」と答えたら、私を見ながら「え、君がやるのか?」って。だから、「なんでダメなの?」と言った。
ファレル:(聞き返して)他の男、他のマネキン?
ジャスティン:他のマネキン…僕にもそう聞こえた(笑)!わぁ、ていうか、曲を書いてて必要な時のネタとして憶えておくために“マネキン”だと思おうって決めたのに、(ファレルに向かって)ぶち壊し。冗談だよ。
トーリ:お金は請求しないわよ。
 
◎若いアーティストへアドヴァイスはありますか?どのように自分の信念に忠実でいるのですか?ダグ・モリスのような人が君は間違ってると言ってきた時に。
ファレル:ここにいる誰もが貴重なアドヴァイスをもらってると思う。で、振り返ってみて、「あの時、ちゃんとアドヴァイス通りにしていれば。」って思うんだ。とはいえ、自分は自分で、自分のGPSを持っているから、磁石の動きはその人それぞれ。これまでの経験は自分特有のものだから。アドヴァイスを与えることもできるけど、最もいいアドヴァイスは自分の“ミューズ”(芸術の女神)に忠実でいることじゃないかな。“ミュージシャン”という言葉はそれに由来してるわけだし。“ミューズ”に耳を傾けることで、方向を示してもらえる。
トーリ:それに、(プロデューサーの)エリック・ロッシと(『リトル・アースクウェイクス』のために)もっと曲を作ったら、「Precious Things」が生まれ、ダグはやっと理解してくれた。彼に「トーリ、一度分かったら、もう大丈夫。僕のことも信じてくれよ。」と言われたから、「分かったわ。」って(笑)。
ジョン:謙虚であることも必要だよね。「自分らしくあればいいよ」って言うものの、“自分”って何?前へ進む度に何かを発見し、その時の自分は、5年後の自分とは違うかもしれない。そして、自分が何を取り込み、誰の言うことを聞き、誰のアドヴァイスに従うか、誰と時間を過ごすか、誰と曲作りをするか、によっても“自分”は変わる。だからキッズには、「今あるべき自分として存在している。自分はグレイトだ。」とは思ってほしくない。自分には何かひらめきがあるかも、何か特別なものがあるかも、もしかしたら育成が必要で、自分自身が謙虚になる必要があるとともに、そこへ辿りつくという自信、そしてそのためには努力が必要なんだ、と思ってほしい。
アリシア:私が言いたいのは、幻想に惑わされないで、ということ。私たちは、他人から多くのことを学び、それを“真実”と呼ぶ。これは誰かに言われて、自分も共感できると思ったこと。どれが自分の“真実”なんだろう、って。私がもっと核心に近づきたいことの一つだわ。

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