化学反応を外して…ジャック・ホワイトの素顔が浮かび上がる『アコースティック・レコーディングス』(Album Review)

2016年11月5日 / 18:00

 ジャック・ホワイトが今秋リリースした『アコースティック・レコーディングス 1998-2016』は、表題どおりにザ・ホワイト・ストライプスからザ・ラカンターズ、そして2010年代のソロといった彼のアーティスト・キャリアから、アコースティックという切り口で楽曲をセレクトしたコンピレーション作品だ。アコースティック作品としての性格を引き出すための新ミックスが施された楽曲もあり、リード作品として「Love is the Truth (Acoustic Mix)」(ジャック・ホワイト)と「City Lights」(ザ・ホワイト・ストライプス未発表曲)の両A面7インチもリリースされていた。

 今回のアルバムから浮かび上がってくるのは、もちろんジャック・ホワイトのソングライター/プレイヤーとしての個人の素顔であり、存在感だ。ただし、彼の表現キャリアにおいて“ジャック・ホワイト個人”が最も重要な部分を担っていたかというと、そうではないように思える。ホワイト・ストライプスではメグ・ホワイトとの歪でスリリングでロマンチックな2ピースの呼吸が重要であったし、ラカンターズやデッド・ウェザーには強烈な個性が顔を並べるスーパーグループとしての側面があった。そしてそれは、ソロ名義活動のこだわり抜いたバンド編成でも同様である。

 ジャック・ホワイトは、いつでもハミ出るような才能を感じさせる個人でありながら、一方で個人では辿り着くことの出来ないスペシャルな瞬間の音を求め、作品に残してきた。アコギのソロ弾き語り曲「We’re Going to Be Friends」は最も極端な例だが、ソファの上、ジャックの傍に寝転がって楽曲に耳を傾けるメグの姿を捉えたあのミュージック・ビデオのシチュエーションこそが、楽曲の化学反応の本質を成す部分なのである。

 ブルースやフォークに深い造詣を持つジャックならば、アコースティック演奏の魅力を伝えることはさほど難しいことではないし、驚くべきことでもない。何しろ、未発表曲は含まれるものの、過去作のコンピレーションだ。ただこのアルバムにはやはり、人との距離感、テクノロジーとの距離感、そして時代との距離感を音楽に込めてきたジャックならではの、リリースの必然があるのだと思う。

 レーベル運営者として、アナログ作品としての質感にこだわった部分もあるだろうし、手の込んだプロダクションとは真逆のシンプルな構成で、創作活動の魅力を伝えたかったという狙いがあったのかも知れない。ディスク2の後半、別ミックスで届けられるソロ名義作品の数々は、眩暈のするような美しさだ。Billboard 200では初登場8位、アナログのアルバム・チャートでは堂々の1位。ジャックの見込みどおりに成果を挙げることが出来たと言えるだろう。(小池宏和)

◎リリース情報
『ジャック・ホワイト アコースティック・レコーディングス 1998-2016』
2016/9/26 RELEASE
SICP-30856~7 2,800円(tax out.)


音楽ニュースMUSIC NEWS

『12月6日はなんの日?』ロイ・オービソンの命日、没後31年

洋楽2019年12月6日

 12月6日は“ビッグ・オー”の愛称で知られるアメリカのシンガー、ロイ・オービソンの命日。  ロイ・オービソンは 1936年4月23日、アメリカ・テキサス州生まれ。1960年代に数々の楽曲をヒットチャートに送り込んだオービソンだが、全米ビル … 続きを読む

家入レオ、25歳の誕生日にLINE LIVE『祝!25才!家入レオBirthday特番!』

J-POP2019年12月6日

 家入レオが、25歳の誕生日当日となる2019年12月13日に、LINE LIVE『祝!25才!家入レオBirthday特番!』を生配信する。  本番組では、昨年8月の『もし君を許せたら』リリース記念、そして、今年4月の『DUO』リリース直 … 続きを読む

MIYAVI、ZEPPツアーが開幕「新しいネクストレベルへ到達したい」

J-POP2019年12月6日

 MIYAVIが、日本全国ZEPPツアー【MIYAVI“NO SLEEP TILL TOKYO”World Tour 2019 JAPAN】の初日公演を札幌にて開催した。  寒い天候に見舞われた札幌初日公演は、本人が登場する前から場内は熱気 … 続きを読む

ゆず、弾き語りドームツアー映像作品のダイジェストに名シーン凝縮

J-POP2019年12月6日

 ゆずが、2020年1月15日にリリースとなるLIVE DVD&Blu-ray『LIVE FILMS ゆずのみ~拍手喝祭~』のダイジェスト映像を公開した。  国で約30万人を動員し大成功に収めた、日本音楽史上初の弾き語りドームツアー。公開さ … 続きを読む

【先ヨミ・デジタル】Official髭男dism「Pretender」がストリーミング首位キープ中 『PRODUCE 101 JAPAN』関連曲が浮上

J-POP2019年12月6日

 GfK Japanによるストリーミング再生回数レポートから、2019年12月2日~12月4日の集計が明らかとなり、Official髭男dism「Pretender」が2,217,113回再生で首位をキープしている。  トップ10のメンバー … 続きを読む

アクセスランキング RANKING

page top