新国立劇場バレエ『ロメオとジュリエット』言葉より雄弁なマイムが物語を紡ぐマクミラン版

2016年11月4日 / 17:50

 新国立劇場が10月29日から『ロメオとジュリエット』の公演をスタート。11月3日のタイトルロールは新国立劇場で数々の主役を組んでいる小野絢子と福岡雄大のペアが踊った。

 シェイクスピア原作、誰もが知る悲劇のラブストーリー『ロメオとジュリエット』は、プロコフィエフの音楽によってバレエとなり、世界中で上演される「古典」のひとつだ。シェイクスピア生誕400周年を記念した英国ロイヤル・バレエが1965年に新制作したマクミラン版は、その後英国が誇るレパートリーとなり、今なお人々に感動を与えている。

 シェイクスピアの原作を基礎としながら、マクミランの作品ではロメオもジュリエットも非常に若く、美しく、そして未熟であることが強調されている。ジュリエットの激しく一途な愛や、ロミオの揺れ動く感情と安易な決断が、悲劇の結末へと一歩一歩近づいてゆく様を、観客はなすすべなく見守るしかない。

 小野絢子が演じるジュリエットは、はじけるように輝かしく瑞々しい、幼さの残登場から、女としての喜びを知り、死を選ぶまでの強い意志と情熱の急変化を、鮮やかに描き出していた。11月3日は観客席の多くに若い学生を迎え、バレエは初めて、あらすじも知らない観客という中での公演であったが、仮死の決断の場面では客席の集中力は最大限に高まった。

 またこの日最初のブラヴォは、マキューシオ役の福田圭吾に投げかけられた。ロメオとのやんちゃ振りや娼婦とのおふざけのマイム。会話の中から自然と踊り始める福田のマキューシオは役柄と振付がまさに一体となることで1幕から注目を集め、2幕の死の場面ではこの先待ち構える悲劇の運命を、その存在感が物語っていた。

 未熟さが引き起こす社会的悲劇と、一途さのもたらす美しさ。恋愛、結婚、両親との関係と対立…。シェイクスピア没後400周年を迎える今年、『ロメオとジュリエット』が現代に語りかけるものは、今なお、あまりにも多いと言えるだろう。text by yokano / photo by Takashi Shikama

◎公演概要
新国立劇場バレエ2016/2017シーズン【ロメオとジュリエット】
2016年10月29日11月5日 全6公演
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
演出・振付:ケネス・マクミラン


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