フェスシーズンは終わらない! これから楽しめる大規模イベントに向けて予習したい5曲

2016年9月12日 / 18:00

あふりらんぽ『WE ARE UCHU NO KO』のジャケット写真 (okmusic UP's)

みなさん『フジロック』とか『サマソニ』とか『ホステス』とか行きましたか? 私は引きこもって汗だくでブライアン・イーノとかヴェルヴェッツアンダーグラウンドとかセントエティエンヌとかジェイムスズーとか聴きながら仕事していました。来年こそ大型フェスのレポ等のご依頼がいただけるような売れっ子になっていたいものです。
 さて、指ひとつ動かさなくとも勝手に目まぐるしく1日の表情が変化する夏が終わり、過ごしやすい季節の到来となりましたが、見逃せない大規模イベントはまだまだ控えています。びしゃびしゃのTシャツの襟元をばたばた煽がせながら炎天下で快哉を叫ぶのも一興、快適な温度のなかで予期せぬ出会いに胸が高鳴るのも一興です。「都合つかなくて行けなかった…」と嘆く前に、ぜひこんなライヴにも足を運んでみてきださい。

1.「ミラクルラッキーガールズ」(’10)/あふりらんぽ
 “テン世代”というカテゴライズにも懐かしさを覚えるようになった昨今ですが、およそ10年前には大阪のライヴハウス、難波ベアーズ周辺を拠点として活躍するアーティストを“関西ゼロ世代”と呼称する風潮がありました。その牽引役ひと組があふりらんぽです。ギターとドラムという必要最小限の構成からは信じられないほどパワフルな演奏、本能の叫喚と「何もなくてもなんとなく楽しい」童心のざわめきをそのまま切り取ったような歌、すっとぼけたような表情と一挙手一投足から産まれるファニーさが横溢するステージングからは多幸感がばしばし放出され、パンクやオルタナといった細分化のための思考すらばかばかしくなるほどでした。衝撃の解散から6年、突拍子もなく再結成を果たしたふたりのエネルギッシュな笑顔は、9月25日の『りんご音楽祭』で観ることができます。

2.「殺し屋危機一髪」 (‘13)/椎名林檎 & SOIL&”PIMP”SESSIONS
 私は大分出身なのですが、日田で『BONCHI SOUND PHENOMENON』なるフェスが開催されていることをつい1週間ほど前まで微塵も知らず、勉強不足も甚だしいと自己嫌悪にかられています。そんなわさびと水の美味しい日田に、今年は赤犬やバニラビーンズ、そしてジャズバンドSOIL&”PIMP”SESSIONSも出演します。ストイックなまでにスキルフルで、パンクやファンクやアシッドジャズ等、遊び心満載で表情豊かな楽曲は「ジャズって堅苦しくて小難しくて敷居が高い」という固定観念を爆音と共に吹き飛ばしてくれます。インスト曲はもちろんのこと、ゲストヴォーカルを招いて展開される、爛熟した果実のようなナンバーもくらくらします。今回はリオオリンピック閉会式も記憶に新しい、椎名林檎とのコラボ曲をどうぞ。

3.「おなじ話」(’05)/ハンバートハンバート
 9月17日と18日に群馬で開催される『NEW ACOUSTIC CAMP 2016』や、10月8日と9日の2日間にわたって富山で行なわれる『BEATRAM MUSIC FESTIVAL 2016』はじめとして、多数のフェスに出演するハンバートハンバート。あまりにもシンプルなギターのリフ、こだまのように呼応するふたつの歌声、紡がれた糸のように何のためらいもなく着地するハーモニーで構成される曲には、普遍的ながら面倒なしがらみを削ぎ落し剥き出しになった感情に、改めて何と名前を付けようかと立ち止まったり迷ったりするための“余白”を与えてくれます。夏フェスの縁起物であるモッシュやクラウドサーフや痣だらけの体ももちろん愛しいのですが、色付いた木々や草の匂いの中でゆったりとアコースティックギターの音色に耳を傾けるゆとりという贅沢も忘れたくないものです。

4.「自撮入門」 (‘14)/アーバンギャルド
 リア充になれず、SNSで「そうなんです、私、承認欲求の塊なんです。自分の矮小さも全部理解しているんです」とマウントをとり続けることにも疲弊し、本当はレッテルの貼り合いにすら興味のないみなさん。暗くて何が悪い、内向的で何が悪い、ネガティブな思考しか生み出せない作品やシーンがあるのだと肯定してくれる、後ろ向きの極地『鬱フェス』の季節がやってきました。そこはかとないコラージュ感を匂わせる自己演出力やトリッキーな言動についつい目を奪われがちですが、とりわけ情報と露悪的な虚栄心が繁茂するネット社会に生きる現代人のナイーブさと酷薄さを「それでも己を愛せよ」とばかりにエンターテインメント性に落とし込む作詞能力の高さには、いつもいつも舌を巻くばかりです。「私は本気で好きなのに、誰も話のできそうな人がいないの」と悩むどこかの誰かの趣味嗜好を見事に射抜いたラインナップにも目を見張ります。

5.「青天井のクラウン」(’16)/中田裕二
 写真家の平間至氏とDragon AshのATSUSHIによる『GAMA ROCK FES』や、仙台の周遊イベント『Date fm MEGA★ROCKS 2016』への出演が決定している中田裕二。椿屋四重奏時代から少しずつ彩度を増す、歌謡曲やニューミュージックへの敬意が覗く官能的な歌詞とメランコリックな歌声に浸るには打って付けの気候ですね。この曲はソウル・フラワー・ユニオンとニューエスト・モデルのトリビュートアルバムに収録されているカバーで、ジャジーで物憂げなアレンジが印象的です。余談ですが、原曲は『みんなのうた』にも起用され、トラッドなアコーディオンの音色と奇妙なピエロのアニメーションによる予想外の相乗効果により、当時の少年少女たちの心にトイレに行けなくなるほどのトラウマを刻みました。


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