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8月10日に2年5ヶ月ぶりのアルバム『ゅ 13-14』をリリースしたユニコーンが9月3日、全国ツアー『第三パラダイス』をスタートさせた。
ユニコーンでライブをするのは初という府中の森芸術劇場。ファンの熱気の中、すっかりおなじみになったお揃いのツナギ姿でメンバーが登場。冒頭から「すばやくなりたい」などアルバムからハイテンポなナンバーを中心にたたみかけ、勢いのあるオープニングに圧倒されたのも束の間、MCでは『初日ということもあって、ちょっと元気にやってみましたが、予想以上に疲れたんで、次からはもうちょっとゆっくりやろうと思います』と奥田が宣言(笑)。そんな微調整も初日ならではだが、そもそもこうでなくては、というセオリーにとらわれないのが彼らのライブ。その日お客さんと作り出す流れを楽しむスタイルは、おまかせ料理みたいで楽しい。
頭5曲全てボーカルが変わるというアルバムの構成からも推測できると思うが、今回もメンバー5人それぞれのキャラクターや特性が光る楽曲と演出で、どんどん引き込んでいく流れは健在。ふざけているのか真面目なのか、適当なのか綿密なのか、ギリギリのラインで行きつ戻りつしながらステージを楽しむスタイルは昔からだが、年を重ねることでその振れ幅は広がったように感じる。ふざけるときは徹底的に、そしてサウンドで圧倒するときも徹底的に。このギャップこそがユニコーンの醍醐味、そして魅力なのだ。
中盤、ドラマ『重版出来!』の主題歌「エコー」が、曲の持つ説得力で、まさしくこだまのごとく場内の隅から隅までを席巻。ABEDONが歌う「TEPPAN KING」では、威風堂々な洋楽ロックのたたずまいでありながら、たい焼きの男気(?)を感じる詞にどこかほろりとさせられたり、「風と太陽」は心をじわりとあたたかくしてくれる。
他にも、これからライブを観る方々の手前、こと細かにお伝え出来ないのがもどかしいが、川西、手島、EBIのボーカル曲も、その存在感とバリエーションの豊かさ、斬新さで客席を大いに沸かせたことだけは伝えたい。
そして本編が終了し、アンコールも含め、本当にあっという間に過ぎた2時間強は、帰り道の足取りをうきうきと軽やかにしてくれるほど、ハッピーなひとときだった。ツアーはここから12月中旬まで続く。彼らのことだから、美味しいものを食べ、美味しいお酒を飲み、ときに観光なんかもしながら満喫していくに違いない。そんな様子にも思いを馳せた、初日の夜だった。
Text by 向出早那
Photo by 山本倫子(MichikoYamamoto)
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