SuG 終焉を何度も考えた日々……決死の覚悟で宣言した「やります、日本武道館!」彼らが今飛び込む理由

2016年5月7日 / 11:45

 過激な暴力シーンや性描写ゆえに地上波・CSでのMVフル尺オンエアが不可となった「桜雨」等、初期衝動を詰め込んだ新作『VIRGIN』が話題のSuG。今作を携えたツアーファイナル公演【SuG LIVE「VIRGIN」】が、5月5日 東京 EX THEATER ROPPONGIにて開催された。

<一発一発が衝動『VIRGIN』のコンセプトとも見合ったムード>

 武瑠(vo)いわく「一曲一曲に感動できるアルバム。一発一発が衝動ですべてキラーチューンっていうものを作ってみたくて、それを出し惜しみなく出していく。だから短編集みたいで面白いですよ。オールスター戦みたいなイメージ。1番、2番がいなくて、全員4番バッター」と語るほどの傑作『VIRGIN』を携えたツアーの千秋楽(※海外での追加公演は除く)ということもあり、序盤の「SICK’ S」「不完全 Beautyfool Days」「overflow」「MISSING」からメンバーもオーディエンスもヒートアップ、その胸にある想いを何もかもスパークさせるかのような、同作のコンセプトとも見合ったムードが会場を包み込んでいた。「このツアーの地方の熱量、ハンパないです。だからこのファイナルはどこよりも盛り上がる義務があります! 行けるか、東京!!」

<幻想的な桜の光が激しく会場を埋め尽くした「桜雨」>

 また、北村諒×篠崎こころ(プティパ -petit pas!-)演じる“東京のシド&ナンシー”のMV(https://youtu.be/8Bmk9yegL0E)も話題、SuG史上最も美しいとも評されるバラード「桜雨」では、「2年前にさ、桜を見て、初めて「こんなに桜ってキレイなんだ?」って思って、その気持ちをそのまま曲にしました。だけど、このツアーをまわって、そのとき書いたときの気持ちよりも、この曲をみんなが好きにさせてくれました。今日ね、来てくれた人たちがまたこの曲を家で聴くとき、このときの感動がそのまま思い出せるように、そんな風に届けたいと思います」と感慨深げに語り、幻想的な桜の光が激しく会場を埋め尽くす中、純粋ゆえに苦しく儚く愛おしいラブソングを響かせていく。この先もSuGを代表するバラードとして長く愛されていくことを確信させる、感動的なアクトであった。

<「おまえらと一緒に歌いたくて書いたんだよ!」最大級のシンガロング>

 その後もライブは曲を重ねるごとに熱量とエモーションを増していき、本編終盤に再び披露した「SICK’ S」では老若男女のダンサーたちをステージに招き入れ、現代病にフォーカスしながら「どうせ省エネで生きてても傷付く量は変わんない。だったら楽しまなきゃ損じゃないかな?」といった前向きなメッセージも詰め込んだ同曲の世界観を立体的に表現。

 さらに「俺は最初に音楽がやりたくてしょうがなくて始めた訳じゃなくて、何もやりたいことがなかったから始めたんだけど、音楽に出逢った10年前のそのときよりも今のほうが音楽、バンド、そしてみんなを愛していると言えます! 今、夢がない人もたくさんいると思うんだけど、無くてあたりまえだから。真剣に何年もやってたらそれをね、夢って呼べばいいだけだと思うから! 一緒に夢見て生きましょう!」「おまえらと一緒に歌いたくて書いたんだよ!」と、新作『VIRGIN』や同ツアーのテーマ曲とも言える「Smells Like Virgin Spirit」、かのニルヴァーナの大名曲の影響も感じさせるナンバーを本編ラストに披露。その言葉通り、SuG史上最大級のシンガロングがどこまでも激しく美しく響き渡る。「最高に格好良いです! 最高に格好良いです!」

<「逆境だからこそ、逆境だからこそ! 来年10周年に……挑戦します」>

 そして、この日最大の……いや、SuG史上最大のドラマはアンコールで起きた。「teenAge dream」を歌い終えた武瑠は「去年、今年とツアー中に仲が良かったバンドがどんどんどんどん解散してって、俺たちが音楽を続けるってこんなに難しいことなんだなって悩みながらこのアルバムを作りました。そしてね、今、音楽はどんどんどんどん縮小していくとか、特に俺たちのジャンルはもう「我慢の時代」とか「終わった」って言われまくってます。俺たちでも思うぐらいです。だけど、だけど……俺たちは9年前、たった3人、動員3人、だけど、その1年後に300人のワンマンをソールドアウトできました。その奇跡は起こせました」と語る。そして、いつでも生意気なほどに堂々としているイメージとは裏腹に、その目を赤く染めながら、珍しくマイクを持つ手も震わせながら、呼吸するその音まで震わせながら「こんな逆境だからこそ、逆境だからこそ! 来年10周年に……挑戦します。

 やります、日本武道館!!!!!!

 来年やります。今の俺たちでは悔しいけど「絶対ムリだ」と笑われると思います。……応援してくれる人がたくさんいる中で、その期待に応えられない自分に悔しくて! 終わりを選ぼうと何度も思った2年間でした。だけど、さっき言ったように3人、10人から300人の奇跡を起こしたバンドです。最初俺たちは何にも持ってなかった! そっから奇跡を起こしました! だからここにいる最高に格好良い奴らともう一度! ありえない奇跡を起こそうと思います! ついてこい! いいか!? こんな時代だからこそ、ありえない奇跡……一緒に起こそうぜ! いいか!?」号泣しながら歓喜する者多数。その状態のままみんなで歌い叫んで踊り倒して暴れまわった「gr8 story」「LOVE SCREAM PARTY」「CRY OUT」の光景は、いつまでも忘れことはないだろう。

<「どうだ? 俺たち一緒に夢叶えたんだぞ」って言いたい>

 また、ダブルアンコールで武瑠は先ほどの武道館宣言の真相について言及。「武道館やるって言ったけど、日付も決まってなくて、みんなにも怖くて話せなくて、でもどうしてもこのツアーで言わなくちゃいけないと思って、本番直前にスタッフとメンバーに相談して、そしてみんなでやろうと決めました。信じてるスタッフだから絶対(武道館を)もぎ取ってくるだろうし、その最高の舞台でここにいる全員残らずつれて、「どうだ? 俺たち一緒に夢叶えたんだぞ」って言いたい。元々熱い人間じゃない自分達をこんなにも真剣に音楽に向き合わせてくれたこと、本当に感謝してます」……本当に強引すぎるし、ワガママすぎるし、純粋すぎるし、背負いすぎだし、もうほんとめちゃくちゃだと思うけど、「どうしてもこのツアーで言わなくちゃいけない」という気持ちは、SuGを追ってきた身としては涙が出るほど分かりすぎた。

 SuGはもう止まれないし、戻れないし、終われない。もう向かうしかないのだ。今回の新作『VIRGIN』や今まで発表/開催してきた音楽やライブ、発言、みんなに夢を抱かせたそのすべてのモノに対してひとつの決着をつける為に、いまだかつて観た事がない世界をみんなにお届けする為に、今、日本武道館という夢に飛び込む。「並の覚悟じゃ足んないからさ……一緒に覚悟して、決意して、夢を叶えましょう!」
 
取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:近澤幸司

◎ライブ【SuG LIVE「VIRGIN」】
05月05日(木・祝)東京 EX THEATER ROPPONGI セットリスト:
01.SICK’ S
02.不完全 Beautyfool Days
03.overflow
04.MISSING
05.sweeToxic
06.DEAD or DEAD
07.JUICY
08.FRIDAY!!
09.桜雨
10.純・不純異性交遊
11.0 song~ソロセッション
12.In the shadow
13.HELLYEAH
14.無限 Style
15.上海ハニー
16.B.A.B.Y.
17.SICK’S
18.Smells Like Virgin Spirit
EN1.teenAge dream
EN2.gr8 story
EN3.LOVE SCREAM PARTY
EN4.CRY OUT
WEN1.dot.0
WEN2.ときどきすてきなこのせかい

◎ツアー【SuG TOUR 2016 VIRGIN】追加公演
06月26日(日)台湾 The Wall
07月03日(日)メキシコ Lunario Auditorio Nacional
07月09日(土)タイ MUSE thonglor
07月10日(日)タイ MUSE thonglor

◎ライブ【VersuS 2016】※詳細は後日発表
11月12日(土)大阪・IMPホール
11月13日(日)大阪・IMPホール
and more…

◎AbemaTV『SPECIALな金曜The NIGHT SuG編』
#1:5月06日(金)25:00-27:00
#2:5月13日(金)25:00-27:00
#3:5月20日(金)25:00-27:00
#4:5月27日(金)25:00-27:00
http://bit.ly/1TMZcd8

◎2nd mini album
今秋リリース
※詳細は後日発表


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