マキタスポーツpresents Fly or Die、渋谷WWWよりレコ初ツアーがスタート

2016年3月9日 / 12:00

3月5日@東京・渋谷WWW (okmusic UP's)

マキタスポーツ扮するDark'~ness(ダークネス)が率いるV系ロックバンド、マキタスポーツpresents Fly or Die(以下F.O.D)のアルバム『矛と盾』のレコ発ライヴが渋谷WWWで行われた。

F.O.DオリジナルTシャツに身を包んだ多くのローズたち(F.O.Dファンの呼称)が会場を埋め尽くした会場。ツアーはこの渋谷WWWを皮切りに、大阪、名古屋と3箇所で行われる。東名阪いずれも対バンとして随行するのは、仙台在住の人気ビジュアル系ロックバンドJin-Machineだ。

F.O.Dとの対バンは、昨年12月24日に渋谷Club Asiaで行われたイベント『non stylish wave CIRCUIT’15〜冬苦手〜』以来2回目。高い音楽性と笑いを融合させて人気を博しているバンドであり、ビジュアル系の衣装に身を包みながら音楽エンターテインメントを追求するF.O.Dとは親和性が高い。演奏の合間に、大漁旗を振りながらマグロの剥製を会場に投げ込んだり、MCで「こんなビジュアル系いやだ」というネタをフリップを使って提示して笑いをとるなど、さまざまな仕掛けを織り込みながらステージを盛り上げるのは、ボーカルであり、実際お笑い芸人としても活躍しているリーダーの閣下ことfeaturing16(フィーチャリングイチロー)のセンスのなせる業だ。最新シングル「NEVER SAY NEVER」や「マグロに賭けた男たち」など、5曲を披露しオーディエンスを沸かせてF.O.Dにバトンを渡した。

この日の主役、Fly or Dieのステージは、ボーカルのダークネスが「よく来たな、幕開けor Dieだ」と高らかに宣言したあと、テレビ東京『ゴッドタン』のマジ歌選手権でもたびたび披露された、初期F.O.Dの代表曲「Virgin Marry~聖母マリア~」でスタート。5人のメンバーによる演奏は開始からテンション最高潮。さらに、舞台上ではもう一人、“しもべ”と呼ばれるダンサーが、手拍子や振り付けで客席を鼓舞して盛り上げる。

間を置かず始まったのは、新アルバム『矛と盾』から「約束」と「ダーク・スター誕生」。ビジュアル系の格好で歌っているのが不可思議に思えてくるほど、音楽様式が多岐にわたっているのが今回のアルバムの特徴だが、まさにウェルメイドなグッドミュージックに仕上がっているこの2曲で、客席の集中力が一気に増す。さらに、ステージ後ろには、歌詞テロップが大きく表示され、マキタ自身が手がけた詞の巧妙に練りこまれた世界が、手に取るようにわかるのもF.O.Dのステージの魅力だ。

続いて演奏されるのは、黒夢の「少年」へのオマージュである「中年」だ。マキタ扮する最高齢デビューV系ボーカリスト、ダークネスが中年の悲哀を歌い、サビで「中年!」と叫びジャンプする様を見ていると、パロディのおかしみがありながら、どこか切なさも感じさせるところが、まさにF.O.Dの面目躍如だ。

F.O.Dのお楽しみ、「メンバー紹介or Die」では、ダークネスの軽妙な話術をもって、メンバーたちの妖怪のような生態が浮き彫りになる。「湯堕さま!」「魅蛙さま!」など、各メンバーの紹介ごとに客席から大きなコールが湧き上がるが、やはりダークネスさまの時にコールの盛り上がりは最高潮に。

F.O.D結成初期から演奏されている代表曲のひとつ「deathdonalds」に続き、娘に男を獲られた母親の切な過ぎる心情を歌った「怨歌~あんたじゃなけりゃ~」で、ダークネスは40過ぎの女の心とシンクロ。と思えば、「ロンリーワルツ」では、ダークネスは「今宵のお妃を見つけよう」と客席に降り立ち、ローズの中から一人を選び、ともにワルツを披露。さらに曲調ががらりと変わり、「下半身がうずいてしょうがないんだ、ダー様は」といいながら、ラテンのリズムにのせて腰を妖しく動かして客席をあおる「愛は猿さ」で、ますます客席はヒートアップした。この「怨歌」から続く中盤戦の3曲はいずれもニューアルバムに収録されているが、“水っぽい”歌謡曲風、ラテン風、さらにバロック風のワルツと、その触れ幅は驚くほどに広い。作曲・作詞をすべて手がけているダークネスの「中の人」マキタスポーツの音楽リテラシーの高さと深さが、改めて浮き彫りになっているといえる。

「80‘sのノリでやろう、昭和のノリを取り戻そう」と、やおら客席と少々古めかしいコール&レスポンスを展開し始めたダークネス。大森靖子作詞の曲「あいしてみやがれ」が始まった。「あいして?」「みやがれ!」とやりとりを繰り返す中、途中「レッツゴー?」と振ると、客席から「ヤング!」という中年以上でないとわからないだろうレスポンスがかえってきてだじろぐダークネス。どうやらローズたちの年齢もかなり多岐にわたっているようだ。

続くMCでは、突如「中の人が、公判中の議員の法廷画と似ているといわれているが、ふざけるな! こちとらビジュアル系やってるんだぞ」とご立腹。3年前にリリースされたアルバム「推定無罪」のジャケット写真のマキタを描いた絵が、現在話題の野々村議員の法廷画と似ていることに苦言を呈した。

その後ダークネスは、ゴットタンのマジ歌選手権で共演し、アルバムでも1曲ゲスト参加している鈴木このみが客席にいるのを発見。プライヴェートで来場していたようだが、「この場でダークネスが判断して、折角なので、歌ってもらうことにしよう」と半ば強引に舞台に上げ、「残響FANATIC BRAVE HEART feat.鈴木このみ」を披露。目玉焼きにかけるのは醤油かソースか、その難題を二人のボーカリストが歌で対決するこの曲で、鈴木このみもダークネスも真っ向勝負を繰り広げたが、結局決着つかずで持越しとなった。

続いて、「世界にひとつだけの花」へのオマージュ、「世界中にある花」で、「No.1じゃなく、オンリーワンじゃない」などと、ダークネス、否、マキタスポーツらしいひねりのきいた歌詞で客席の盛り上がりは最高潮になる中、本編終了。

興奮冷めやらぬオーディエンスから「アンコール!」や「スパンコール!」「マングース!」などの風変わりなコールが沸く中、再びメンバーが登場。ギャグボールを口に含んだドラムの“内野くん”が、しもべによってボールをはずされると、ボーイソプラノ風のオペラボイスで、物販グッズの紹介を高らかに歌い上げた。そして、今回のニューアルバムのタイトル曲である「矛と盾」がアンコール1曲目として披露された。シャ乱Qのような水っぽさを目指したというこの曲、ギター背淫のエロいギタープレイが炸裂する中、ダークネスはオーディエンスに「たため!」と指示。上半身をたたむように折る動きをローズたちは従順に行い、客席は一体感に包まれる。

アンコール2曲目は、「これはとても素敵なバンギャの物語なんだ」との紹介とともに、「アタシの彼はビジュアル系」。Jin-Machineの閣下が再びステージに登場し共演した。ビジュアル系のボーカリストに憧れ、ヒモになって貢ぐバンギャの悲哀を歌ったものだが、ピュアなバンギャを翻弄する彼役を、閣下が担って歌い、客席は沸きに沸いた。さらに、間を置かず「The Theme of F.O.D」が奏されて、華々しくライヴは終幕となった。

マキタスポーツがいま最も力を入れているプロジェクト、Fly or Die。テレビ番組の企画から生まれた特殊な成り立ちのバンドでありながら、 バンドとしての一体感と、ビジュアル系の見た目からは想像できない音楽性の広さは特筆すべきものがあるであろう。

真のエンターテインメントを追求しようとするマキタスポーツだからこそなし得るステージは、ショーとしての完成度がすこぶる高いので、ぜひとも足を運んで観てみてほしい。

Photo:Yasuhiro Ohara

【セットリスト】
1:Virgin Marry ~聖母マリア~

2:約束

3 :ダーク・スター誕生

4:中年

5:deathdonalds

6:怨歌~あんたじゃなけりゃ

7:ロンリーワルツ

8:愛は猿さ

9:あいしてみやがれ

10:残響FANATIC BRAVE HEART featuring. 鈴木このみ

11:世界中にある花

12:矛と盾

13 :アタシの彼はビジュアル系 feat. Featuring16

14:The Theme of F.O.D


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