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今年の【グラミー賞】で主役となったサム・スミスをはじめ、ゲイであることをカミングアウトするシンガーが増える中で、今もっともLGBTシーンに影響を与えるシンガーが、トロイ・シヴァンだ。350万を超えるフォロワーがいる、自身のYouTubeチャンネルで、2年前にゲイであることを公表してから、その人気は衰えるどころか一気に増幅。あのタイム誌で“世界で最も影響力のあるティーン25人”に選ばれたほどだ。
ゲイ・シーンだけでなく、サム・スミスはじめ、テイラー・スウィフトも絶賛するという彼のミュージシャンとしての顔も評価が高い。2000万視聴を超えるデビュー曲「ハッピー・リトル・ピル」や、ボーイズ・ラブがビデオ中で描かれている「ワイルド」など、誰が聴いてもすんなり受け入れられるポップなサウンドと、そのキュートなルックスとは対照的なセクシーなヴォーカル・ワークが、男子のみならず、女子のハートもくすぐってしまう。
これまでリリースした全楽曲は、トロイ自身が制作を担当していて、ソングライターとしての才能もかわれている。スタンダードなポップ・ソングのみならず、「バイト」や「イーズ」など、R&Bタッチなナンバーもあり、「トーク・ミー・ダウン」のようなミッドチューンからアップまで、若干20歳の青年が仕上げたとは思えないクオリティだ。楽曲的な面でみれば、大ヒット中の『パーパス』にハマっているジャスティン・ビーバーファンにも、しっくりくる内容だ。
それらすべてが収録された、トロイ・シヴァンのデビューアルバム『ブルー・ネイバーフッド』が、12月4日にリリースされたばかり。本国オーストラリアでは6位、ニュージーランドでも9位に初登場し、米ビルボード・アルバム・チャートでは、7位にデビューするという快挙を成し遂げた。アルバム・タイトル&アートワークのイメージそのままの、透明感と浮遊感溢れるナンバーが揃っていて、ゲイ云々ではなく、いちアーティストとして評価されるべく名盤だろう。
本作の大ヒットを皮切りに、2016年はトロイ・シヴァンの更なるブレイクが期待される。「テイラー・スウィフトの『1989』を目標にしている」とテイラー自身にSNS上で返信しているトロイ・シヴァン。たしかに、男版テイラー・スウィフトに成り得る要素は十分にあり、首位獲得やミリオン・ヒット、【グラミー賞】受賞という可能性も、十分に秘めているアーティストだと思う。
Text: 本家 一成
◎「Wild」MV
https://youtu.be/fdXNNveYOfU
◎「Happy Little Pill」MV
https://youtu.be/QEWHF3E9YJQ
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