THE MORTAL、ツアー最終日に櫻井敦司が交わした“蘇生"の約束とは?

2015年11月27日 / 23:00

11月26日@NHKホール (okmusic UP's)

THE MORTALが11月26日、東京・NHKホールの空間を漆黒の闇へと染め上げた。

このTHE MORTALは、基本的にはBUCK-TICKのフロントマンである櫻井敦司のソロ・プロジェクトということになるが、ゴシックやニュー・ウェーヴを音楽的キーワードとしながら、Jake Cloudchair(g)、村田有希生(g)、三代堅(b)、秋山タカヒコ(ds)といった実力もクセの強さもあるミュージシャンたちによる化学反応を軸とするその成り立ちは、類似するもののない、新たなバンドの姿であった。10月から11月にかけ『Spirit』と題されたミニ・アルバム、『I AM MORTAL』と銘打たれたフル・アルバムを連続リリースしてきた彼らは、11月16日の大阪・なんばHatch公演を皮切りに『TOUR THE MORTAL 2015』という命題のもと、ライヴ・バンドとしても始動。大阪と東京での各3公演という短期集中型ツアーを実践し、この夜にその最後の夜を迎えたというわけである。

ステージを覆う紗幕にモノクロの象徴的イメージ映像を浮かび上がらせながらの、どこか儀式的な重々しい匂いを伴ったオープニング場面を経て、黒いコスチュームに身を包んだ5人がまず披露したのは、アルバムの冒頭に収められていた「天使」。大胆かつ繊細に提示されるそのバンド・サウンドには、充分に空間が伴っているはずなのに、息を止めて全神経を集中させながら向き合うことを求めてくるかのような凄味があり、しかも櫻井の絶対的な歌声と存在感は観衆を捉えて離そうとしない。すでにアルバムを熟聴しているオーディエンスにとって、この構図は“快楽的拷問”ともいえるのではないだろうか。ステージと客席がわかりやすい一体感で包まれるのではなく、目には見えない次元で同調しているのだ。

ステージは『I AM MORTAL』の収録曲を中心に、途中には「SACRIFICE」や「ハレルヤ」、「惑星」といった、櫻井が2004年に発表した自己初のソロ・アルバム、『愛の惑星』からの楽曲も織り交ぜながら進んでいく。そうした時間の流れのなかで印象的だったのは、彼らの体現するダークな世界というのが、実は単純に黒一色で塗り潰された闇ではないということ。バンド名自体が“免れ得ぬ死”を意味することからも察することができるように、歌詞世界も櫻井の死生観といったものが色濃く反映されたものになっているが、そこに描かれる闇にもさまざまな温度や匂い、躍動といったものが伴っているのだ。しかもその演奏ぶりからは、この“生まれたばかりのバンド”におけるメンバー間の音楽的干渉が、日に日によりいっそうお互いの領域に踏み込んだものになりつつあるのが伝わってきた。また、他では目にしたことのないような映像や照明効果を用いた演出も見られ、それらがこのバンドと音楽が持つ深みや奥行きといったものをいっそう際立たせていた事実も重要だろう。メンバーたちのみならず、このステージに関わる誰もが、THE MORTALという“限りあるバンド”に最大限の貢献をしようとしているのが伝わってきた、と言っても大袈裟ではないはずだ。

ことにライヴ本編の終盤を余韻の豊かなものにしていた「Mortal」から「サヨナラワルツ」への流れは見事だったし、THE DAMNED、SIOUXSIE AND THE BANSHEES、BAUHAUSのカヴァー曲(いずれも『Spirit』に収録されている)を連射してみせたアンコール前半の趣向にも、役者の揃ったバンドならではの説得力が伴っていた。最後の最後、「EXPLOSION」を披露する前に、櫻井は「THE MORTALは一度死にますが、またいつか蘇りたいと思います」と語っていたが、客席、そしてステージ上にいた誰もが、心のなかでその言葉に頷いていたに違いない。

約2時間の濃密なライヴ・パフォーマンスを終えて5人がその場を去ると、ステージの背景にはアルバムの表題と同じ“I AM MORTAL”という一文が浮かび上がっていた。が、このバンドは永遠ではない代わりに、自分たちの意志を重ねることによって蘇生可能な存在でもある。次に彼らのステージを目撃できる機会がいつ、どういった形で訪れることになるのかはわからないが、その日の到来を心待ちにしていたい。そして、このTHE MORTALの音楽にいまだ触れていない人たちには、今からでも是非、『I AM MORTAL』の深淵なる世界を味わっていただきたいところである。

Text by 増田勇一

Photo by 柴田恵理

【セットリスト】
1. 天使

2. DEAD CAN DANCE

3. PAIN DROP

4. 夢

5. Fantomas -展覧会の男

6. 月

7. グロテスク

8. MOTHER

9. ギニョル

10. SACRIFICE

11. ハレルヤ

12. 惑星

13. Barbaric Man

14. Mortal

15. サヨナラワルツ

-EN1-

1.SHADOW OF LOVE

2.CITIES IN DUST

3.Spirit

-EN2-

1.予感

2.新月

3.猫

4.EXPLOSION


音楽ニュースMUSIC NEWS

松本潤が純白の衣装姿で出演、「きのこの山」「たけのこの里」新テレビCM

J-POP2021年3月2日

 明治「きのこの山」「たけのこの里」の新テレビCM「きのこの山・たけのこの里 国民大調査2020 結果」篇が本日3月2日からオンエアされている。  2020年9月15日から実施した『きのこの山・たけのこの里 国民大調査2020 ~愛こそニッ … 続きを読む

Task have Fun、結成5周年記念の中野サンプラザ公演『Go Task 5!!!』開催決定!

ニュース2021年3月1日

アイドルユニット、Task have Funが2019年11月23日に全国ツアー『Task have Fun 全国ツアー 2019 ~Anytime Tasks~』のファイナル公演を行った中野サンプラザにて、2021年5月1日(土)にTas … 続きを読む

ライブイベント『Scorebook』が配信ライブを開催! URARACA、AOAZA、J'Da Skit & Leo Iwamuraが出演

ジャパニーズロック2021年3月1日

定期的に開催されていたイベント『Scorebook』が、配信ライブとして池袋のharevutaiで開催される。 このイベントは“若くてライブ力のあるバンドを体感してほしい”という想いから企画され、始まったもの。これまで数回開催され、ジャンル … 続きを読む

黒木渚がデジタルシングル「竹」リリースへ、ジャケ写&ショート版音源を解禁

J-POP2021年3月1日

 独特の文学的歌詞で女性の強さや心理を歌い上げるシンガーソングライター、黒木渚が3月17日にデジタルシングル「竹」をリリースすることを発表した。あわせて自作のヘッドドレスを使用したジャケ写を解禁。YouTubeではショート版のオフシャルオー … 続きを読む

ケツメイシ、令和版「さくら」のショートフィルム後編公開

J-POP2021年3月1日

 ケツメイシの令和版「さくら」(2021年 ver.)ミュージックビデオのビハインドストーリーを描いたショートフィルムの後編が、公開された。 https://youtu.be/a-GOzdozDWQ  本作は「さくら」(2021年 ver. … 続きを読む

amazon

page top