Song Review: 女王アデルがカムバック!先行シングル「ハロー」が物語る新作の世界観とは?

2015年10月26日 / 20:20

 アメリカの累計枚数だけで1100万枚、ワールド・セールスが3000万枚を突破したアルバム『21』のリリースから、およそ5年ぶりとなる新作『25』を11月20日に発売する、アデル。そのアルバムから、先行シングルとしてリリースされた「ハロー」のミュージック・ビデオが、22日に公開された。全世界が待ちわびた、アデルの新作はどういった世界観なのか…この曲が物語る『25』の全貌が、いま明らかに。

 舞台はカナダ、モントリオールの木々に囲まれた美しい山中で、男女の人間模様を描くストーリーと、エモーショナルに歌うアデルが入り交る、モノクロ映画のようなシーンが印象的なビデオだ。冒頭で「何年も経っているのに…」と歌うように、この曲含め、本作は“失われた時間や自分のしたこと、しなかったことの償い”がテーマになっているという。「もしもし、変わりはない?」優しく語り掛けるアデルの歌声が、耳心地良い。

 5年ものブランクがあったのは、アルバム『21』の大ブレイク最中、2012年秋に、男児を出産したからであり、おそらく育児に専念していたからだろう。世界的大スターにのぼりつめたことと同時に、女性としての幸せ、母親としての使命も与えられたことで、さらに深みとスケールの広がりが感じられる。また、25歳というターニング・ポイントに立って、考えさせられたことについても、アルバムの内容に大きく反映していると話す。

 若さで突っ走った10代~20代前半までの思春期と、20代後半から成熟した女性になる、その狭間にいることは不安定であり、しかし人間として何かを見出すための、大事な時間でもある。これまでしてきたことの後悔や懺悔、そしてこれからどう、自分自身を生きていくのかを、形にしたという『25』。たしかに、この「ハロー」を聴くかぎりも、今までにはない包容力や、諭すようなヴォーカルワークが感じられる。本作にも、そういった新しいアデルの魅力が詰まっていることは確かだろう。

 ビデオ公開後、すで6000万回視聴を突破、1週間で7000万回を記録しそうな勢いをみせる、「ハロー」。全世界から大絶賛の声があがっていて、まさに華々しい復帰劇を果たしたといえる。11月1週目のチャートでは、No.1デビューが期待されるが、もはやランキングやセールス云々は、彼女にとってシビアになる問題ではない。今、自分がどういった心境なのか、この5年、どういったことをしてきたか、どういったことを思ってきたか、それをファンに伝えたいという気持ちが、犇々と伝わってくる、そんなアルバムだ。

 前作に引き続き、アデル自身が全曲の制作に携わり、プロデューサーには、ケイティ・ペリーやビヨンセなどを手掛けたグレッグ・カースティンがクレジットされている。また、アルバムの中で、アデル自身が一番のお気に入りだと話す「ホエン・ウィー・ワー・ヤング」には、カナダ出身のシンガーソングライター、トバイアス・ジェッソ・Jr.が参加。彼のデビュー・アルバム『グーン』を聴いた時からそのセンスに惚れ込み、本作の共作に繋がったという。アデルのみならず、次世代ポップシーンの最注目株であるトバイアス・ジェッソ・Jr.は、2016年1月25日にビルボードライブ大阪、27日にビルボードライブ東京で待望の初来日公演を控えている。

Text: 本家 一成

◎「Hello」MV
https://youtu.be/YQHsXMglC9A

◎リリース情報
『25』
アデル
2015/11/20 RELEASE
2,490円(plus tax)
※日本盤はボーナス・トラック3曲、歌詞対訳付(予定)


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