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この秋、メジャーデビュー10周年を迎えるRADWIMPS。韓国公演から始まったアジア&ヨーロッパツアーも佳境に入り、10月19日にロンドン Islington Acadで行われた公演のライブレポートが到着した。
キプロス島から4000キロの旅をして、RADWIMPSを観るためにロンドンに来たと言う青年がいた。メジャーデビュー10周年を迎えたRADWIMPSの、初のヨーロッパツアー。最終日のロンドン公演は、10年間待っていたファンの思いが、爆発的に解き放たれたライブとなった。どの曲もイントロが演奏されるたびに、耳が痛くなるほどの大歓声が起きる。そのあとはシンガロング、合唱と言うよりも、観客が日本語の歌詞を絶叫していく。右手を振り上げ、ジャンプしながら。
バンドはその波にのり、曲を重ねるごとにグルーブを高め、極めて集中度の高い演奏が続く。日本でアリーナをやるバンドが、ライブハウスを自在にコントロールし、煽っていく。野田の正面には、野田と同じようなハットを被った観客がいたのだが、ライブ後半では右に2メートルくらい、立っている位置がずれていた。ジャンプを繰り返しながら、後ろから押され続け、同じ場所にいられないのだ。
PAからは、異様なほどクリアで心地良い音が出ている。日本から来たスタッフが、がっちりとバンドを支えている。サポート・ドラマーの森瑞希も、ライブを重ねるごとにバンドに溶けこんでいるのが分かる。RADWIMPSのアンサンブルが唯一無二と言われる理由のひとつに、面ではなく点と点を重ねてアンサンブルを作っていくことがあるのではと思う。
「Shall we go london?」で始まった「実況中継」、「おしゃかしゃま」などの精巧で強固なアンサンブルは、海外でも熱狂的に受け入れられていた。その一方で「This song is for my future baby」とのMCで始まった「Tummy」などのゆったりとした曲も、バンドと会場が一体となっての演奏が続く。「ます。」「ふたりごと」などの初期の曲では、観客がどれだけこの曲を愛しライブを待っていたかが、全身で表現される。観客からとてつもないパワーが放出され、バンドが一歩も退かずにそれを押し返す。10年間待っていた人、10年間かけて届けに来たバンド。素晴らしい瞬間だった。
「Thank you,Thank you so much!」アンコールが終わり、客席が明るくなる。汗だくの観客の、満足そうに放心した顔。彼らは次に、多くの友人を誘って来るだろう。RADWIMPSが行った、初めてのアジア以外でのライブ。種はしっかりと植えられた。ゆっくりと着実に、豊潤な実を結ぶに違いない。
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