真空ホロウ、現体制での最後のステージに立つ!

2015年7月19日 / 21:00

7月18日@東京・キネマ倶楽部 (okmusic UP's)

真空ホロウのワンマンツアー“真空ホロウ TOUR 2015梅雨~回想列車で全国へ。嘘です本当は機材車です。~”のファイナルが、7月18日に東京・キネマ倶楽部にて開催された。

本ツアーは6月の高松を皮切りに全国7公演。メジャーデビュー後、初のフルアルバムとして4月にリリースされた『真空ホロウ』を掲げたものだ。そしてこの日は、7月1日に発表された村田智史(B.)、大貫朋也(Dr.)両名の脱退に伴う3人揃っての最後のステージでもある。ソールドアウトした会場は、この節目となる1日を、今の真空ホロウの3人を見届けるべく集まったオーディエンスで、埋め尽くされた。

暗転し、3人がステージに登場すると、大歓声と拍手が彼らを迎えた。「真空ホロウへようこそ」松本明人(Vo/Gt.)お決まりの台詞で幕を開けた1曲目は『開戦前夜』。会場の熱は早くも突き上がり、インディーズ時代の代表曲『被害妄想と自己暗示による不快感』では、村田と大貫が向き合って互いの音を確かめ合うかのようなシーンも。自然とクラップが起こり、一緒に歌うオーディエンス。会場は一瞬にして真空ホロウの世界となった。MCでは、村田がライブに訪れていた父親と掛け合い、「あの親にしてこの子あり」と笑いをとるなど、いつもの和やかな雰囲気で会場を満たす。『新世界より』『虹』と続き、メンバー全員が好きな曲でもある『こどものくに』では、まるで深海に音が降りてくるかのような圧倒的な世界観に、誰もが引き込まれた。松本が「ブレイクタイム」として設けた弾き語りは、先のアルバムの中で唯一バンド演奏していないという『ミラードール』と、新曲の『ひかりのうた』を披露。時に叙情的に、時にやさしく響く歌声は、人の心に寄り添う一筋の希望すら感じさせる。「このツアーは、夢を見るためにも現実を見るためにも大事なものでした」と語った松本。夢と現実の狭間を描いた『回想列車』は、会場をどこまでも温かく包み込んだ。大貫のドラムソロを挟み、再登場した村田が会場を煽る。これが最後になるであろう二人のセッションに、会場もより一層の盛り上がりを見せた。『アナフィラキシーショック』『闇に踊れ』など立て続けに披露し、1曲1曲を惜しむ間もないほど、テンションは更に上がっていく。ダンスロック『Balance cont(r)ol』『MAGIC』ではビートに会場が揺れるのを確かに感じ、何よりもオーディエンスの笑顔が印象的だった。そして、本編ラスト『バタフライスクールエフェクト』へ。ステージと客席の境が完全になくなったかのような一体感を見せ、「これが真空ホロウなのだ」と改めて感じずにはいられなかった。

アンコールで再びステージに戻った3人。村田と大貫が今回の脱退について語った。「真空ホロウは続いていくし、僕らも音楽を続けていくと思う。違う形で応援してほしい(大貫)」「本当はサポート3カ月のはずだったのにここまで続けてこれたのは、何よりもみんなのおかげです。改めて音楽の面白さをみんなから教えてもらいました(村田)」思い思いの気持ちを告げ、特に村田が感極まって言葉に詰まるシーンに、涙するオーディエンスも多かった。そして、メンバーの出会いとなった曲であり、今回のツアーでは初の『I do?』を披露。一音一音を大切に紡ぎだす3人の姿に、思わず心を打たれた。「最後は踊って帰ろう」と松本が会場を煽り、いよいよラスト『Highway My way』へ。今この時を刻み込むかのように伸ばされたオーディエンスの手は、常に3人に向けられていた。目の前に広がる景色は、3人が描いたものだ。そして最後の瞬間まで、紛れもなく3人の音だった。

ステージに残った松本が、最後に自身の想いを語った。「3ピースバンド真空ホロウでした。物理的に一人になったわけですけど、孤独にはならないと、皆さんを見て安心しました。これからも歌い続けていこうと決心できました。僕も皆さんを安心させ続けるので、是非これからも、真空ホロウへようこそ」。これまで3人が色づけてきた真空ホロウは、これからの真空ホロウに受け継がれ、また新たな色が足されていく。次はどんな景色が見られるだろうか。それを確かめるために、明日からの真空ホロウを見届けたいと思う。3人が去った後のステージには、温かな拍手がいつまでも鳴り響いていた。

text by 矢作 綾加

photo by 橋本塁(SOUND SHOOTER)


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